福岡大学医学部医学科歯科口腔外科学講座

 

 


Department of Oral and Maxillofacial Surgery Faculty of Medicine, Fukuoka University


教室紹介






       

歯科口腔外科は200510月1日から喜久田利弘教授が2代目の教授として就任され3年半が経過しました。スタッフは、喜久田教授以下、梅本講師、古田助教、瀬戸助教、青柳助教の5名の教育スタッフと助手5名(1名:白十字病院出向、1名:山口赤十字病院出向)、大学院生3名(社会人枠)と2年次研修医3名、1年次研修医4名です。また、研究生2名、研究員2名が週1回、研究と臨床のために医局業務に参加しています。院内研修として1年次研修医は当科の病棟と外来で研修し、後半に約30日間の院外施設での研修を行っています。2年次はローテーションで麻酔科に出向し、麻酔科指導医の元で全身管理を4か月間研修しています。140から150例近くの全身麻酔を経験しているようです。当教室は、福岡大学医学部の外科系臨床講座のひとつとして研究、臨床と教育に励んでいます。

               【研究チーム】

 1.不正咬合と口腔機能:喜久田教授が中心に不正咬合と口腔機能に関する研究を行っています。口腔機能は残存歯数や咬合の良否に影響されます。また、不正咬合を持つ顎変形症患者と顎関節の関係も実験的に研究しています。臨床的には、下顎前突症患者の反対咬合や開咬などの不正咬合と顎関節症状との関連性を検討しています。また、不正咬合に対する外科的顎矯正改善手術が咬合の改善のみならず顎関節症状も減少させることを報告しています。その口腔機能検査法として、咬合接触面積・点数、咬合力や咀嚼能力を定量的に研究しています。現在は、顎変形症手術時のプレート固定時の術後の咀嚼に耐えうる方法を探究するために、三次元有限要素の解析で応力研究を高橋大学院生と行っています。
 2.内科疾患と歯科的連携研究:梅本講師が中心に脳神経内科疾患患者の口腔の咀嚼機能や嚥下機能を各種機器を使用して評価し、食事形態や患者さんの
QOLにフィードバックできる研究を行っています。現在はパーキンソン病患者さんの脳深部刺激療法前後の咀嚼嚥下機能を評価する研究を北嶋大学院生と進めています。

 3.顎顔面骨三次元計測の規格化:古田治彦助教は、福岡大学工学部の森山准教授とともに顔面骨の三次元CT画像の規格化と顎骨移動咬合改善術前後の比較検討をオートフィッティング法を独自に開発し、3DCTセファログラムの研究を行っています。
 4.全身管理と歯科治療:瀬戸美夏助教は、有病者や治療恐怖症の歯科治療における最適な鎮静療法とその深度の検討を行っています。また、自己血輸血の必要な症例の術前後の循環血液の状態の研究を行っています。
 5.口腔ケアの実践研究:原研究員は慢性期疾患病棟を持つ病院での医師、歯科医師、看護師、言語療法士、介護士などと協力して、入院中患者の個々に合う口腔ケアプログラムの作成法をチャート式でフィールドワーク研究を実践しています。
 6.その他口腔外科手術に関する研究:顎骨骨折の治療におけるチタニウム製プレートによる固定法の臨床的評価や顎矯正手術時の吸収性プレートによる固定方の臨床的評価を行っています。また、顎嚢胞治療における、代用粘膜上皮の露出骨面への応用を臨床的に評価・検討しています。
 7.歯科医師臨床研修医は症例報告を中心に学会活動を行っています。

【臨床】

 福岡大学病院歯科口腔外科では、歯科に二次医療機関として開業されている先生方と連携をとり外来での歯科外科手術、入院での口腔・顎顔面外科手術を行っています。また、救命救急センター搬入患者の顎・顔面外傷治療や重症な歯性感染症治療では、整形外科、脳神経外科、耳鼻咽喉科、形成外科や外科の担当医とともに全科的な集学治療に参加し、歯牙、咬合、顎運動や摂食・咀嚼に関連する上下顎骨疾患、粘膜治療や口腔ケアを担当しています。
 全身的基礎疾患を持つハイリスク患者の歯科治療においては、抗不安薬の前投与、笑気鎮静療法とモニター管理下での歯科治療を行っています。特にワーファリンによる抗凝固療法中患者の服薬継続下での抜歯法は血栓形成のリスクが少ないというメリットがあり、患者や循環器科担当医にとって朗報であると自負しています。
 診療においては、外来では特に口腔外科的疾患や基礎疾患を有する患者の治療、歯科治療恐怖症の治療を行っています。外来患者は月平均
700800件と病院全体からみても多いほうです。平成17年より外来手術室を設置し、今まで大診療室で行っていた歯科治療の怖い患者さんや全身的な疾患をもった患者さんに対し、笑気麻酔や静脈内鎮静法を使用して患者にやさしい無痛治療を行なえるようになりました。また、今まで行ってきた院内の重度な全身的基礎疾患のある患者さんの口腔疾患治療や心臓や臓器移植前後の患者さんの抜歯やプラークコントロールの治療を統合して口腔ケア外来と標榜することしました。もちろん糖尿病や血液疾患(白血病など)で当院他科通院中の患者などの口腔常在菌からの感染に対して注意が必要な患者に対する口腔ケア治療も行っています。入院では、顎変形症(受け口、交差咬合、出っ歯など)、上下顎骨骨折、歯性感染症、歯原性腫瘍、歯原性嚢胞、全身的管理の必要な患者の抜歯を主に行っています。手術日は毎週木曜日で23例、土曜日に静脈内鎮静法で可能な口腔外科手術を1~2例の手術を行っております。顎骨骨折や急性歯性感染症の切開排膿術などは24時間体制で緊急手術として行っています。局所麻酔での手術は、喜久田教授が当科へ赴任された直後の15年前よりプロポフォールを用いた静脈内鎮静法を用い、確実で不安の無い無痛下の局所麻酔手術を行っています。入院期間も12日や23日などの短期間入院が増加しています。

 院外からの紹介は城南区、早良区、西区、中央区、南区、糸島方面と幅広く、歯科医院や他科医院や病院からあり、地域医療との連携を密にしています。また、平成1711月より『福岡大学口腔科学セミナー』を開催し、口腔疾患に関する話題の講演とディスカッションを行う会を開催しています。地域の先生方との交流の場がひとつ増えたのではと思います。口腔外科的な分野だけではなく基礎を含めた学際的で、多彩な分野から講師の先生をお招きしています。
 平成1415161718年度の外来新来患者の内訳を表1に示します。また、福岡大学病院歯科口腔外科の開設からの入院患者の統計資料を図1から4に示します。


表1:
福岡大学病院  歯科口腔外科
新来患者症例  内容とその数

2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009
先天異常
唇裂口蓋裂 唇(顎)裂 0 0 0 0 0 0 0 0
口蓋裂 1 0 0 1 1 0 0 2
唇顎口顎裂 1 2 0 1 0 0 0 0
鼻咽喉閉鎖不全 0 0 0 0 0 0 0 0
その他の先天異常 0 0 0 0 0 0 4 1
顎変形症 下顎前突起症 8 15 12 2 6 14 11 3
その他の 顎変形症 6 9 5 16 9 2 2 20
骨隆起 7 4 10 4 8 9 2 9
小帯位置異常 8 7 8 7 7 5 7 2
外傷
骨折 歯槽骨骨折 4 5 2 10 9 3 1 6
上顎骨骨折 9 7 3 5 3 5 3 9
下顎骨骨折 21 26 13 24 14 9 17 35
頬骨・頬骨弓 骨折 1 3 8 0 3 1 1 0
歯牙 脱臼 6 13 22 16 11 12 5 16
破折 5 5 24 12 2 3 6 20
軟組織創傷 口腔外創傷 6 9 32 1 3 2 3 17
口腔内創傷 22 32 42 48 30 35 15 26
炎症
膿瘍 頬部膿瘍 7 15 1 2 3 3 0 4
顎下膿瘍 0 3 1 0 0 1 0 0
口底膿瘍 1 3 0 0 0 2 0 3
その他 6 1 3 6 54 0 1 4
顎骨炎 顎骨骨髄炎 2 2 3 9 1 2 4 13
顎骨骨膜炎 15 89 93 73 1 33 22 13
上顎洞炎 11 15 14 9 5 16 12 22
特異性炎 0 1 0 0 0 0 0 1
インプラント周囲炎 1 3 2 4 5 1 4 2
口腔粘膜疾患
褥瘡性潰瘍 18 7 34 8 9 4 13 11
口腔乾燥症 8 11 31 30 32 11 46 36
地図状舌 4 3 6 9 5 3 2 1
白板症 6 3 6 5 5 6 13 11
扁平苔癬 5 4 9 8 10 11 6 17
ウイルス性疾患 6 10 17 18 4 7 8 7
その他の口腔粘膜  疾患 14 28 105 68 82 78 78 90
嚢 胞
歯原性嚢胞 歯根嚢胞・残留嚢胞 14 17 22 21 7 12 9 5
含歯性嚢胞 3 3 4 1 3 3 1 8
角化嚢胞 0 1 0 0 0 0 0 1
その他の歯原性嚢胞 0 0 1 0 0 0 2 0
非歯原性嚢胞 鼻口蓋管嚢胞 0 0 0 2 1 2 0 3
術後性上顎嚢胞 3 1 1 2 3 1 2 3
単純性骨嚢胞 0 0 0 0 0 0 0 0
その他の嚢胞 2 0 0 0 0 4 0 1
(軟組織) 粘液嚢胞・ガマ腫 23 15 18 17 27 19 18 25
類皮・類表皮嚢胞 0 3 1 0 0 0 0 0
その他の嚢胞 0 0 5 1 1 0 0 4
良性腫瘍および 腫瘍類似疾患
歯原性腫瘍 エナメル上皮腫 1 0 0 0 0 1 0 1
セメント芽細胞腫 0 1 0 0 1 0 0 0
歯牙腫 0 0 0 1 1 3 1 1
その他の歯原性腫瘍 0 0 2 5 3 2 0 3
非歯原性腫瘍 乳頭腫 2 0 3 2 1 3 5 3
(良性腫瘍) 線維腫 11 5 11 17 8 5 6 5
血管腫 3 7 7 2 1 3 3 5
エプーリス 3 3 3 3 0 2 4 7
その他の非歯原性  腫瘍 0 3 6 4 0 6 15 99
腫瘍類似疾患 0 13 0 0 2 8 0 1
歯科心身症(PSD) 71 67 93 72 89 37 47 83
睡眠時無呼吸症候群 17
インプラント症例 4 3 3 1
顎関節疾患
顎関節症 93 104 114 113 110 110 125 90
顎関節脱臼 8 9 6 6 5 10 4 1
顎関節強直症 0 0 0 0 0 1 0 0
神経性疾患
三叉神経痛 4 2 15 1 8 11 9 11
顔面神経麻痺 2 1 1 0 2 2 0 1
非定型顔面通 19 11 9 10 7 6 0 8
その他の神経性疾患 0 2 0 60 5 16 62 1
唾液腺疾患
唾液腺炎 顎下腺炎 7 5 10 10 2 5 8 5
耳下腺炎 6 2 5 6 5 3 2 6
その他 0 1 1 0 0 0 0 2
唾石症 7 2 6 8 7 6 6 13
唾液腺腫瘍 多形性線腫 1 1 1 0 0 0 1 3
腺様嚢胞癌 0 0 0 0 0 0 0 0
腺癌 0 0 0 0 0 0 0 0
粘表皮腫 0 0 0 0 0 0 0 0
その他の唾液腺腫瘍 0 0 1 0 0 0 0 0
悪性腫瘍
癌腫 口唇 0 0 0 0 1 0 1 0
頬粘膜 0 1 0 0 1 0 0 0
歯肉 1 2 2 0 0 2 1 3
口蓋 1 1 0 0 1 0 0 0
7 0 3 1 2 1 4 5
口腔底 3 1 0 0 0 0 2 5
肉腫 0 0 0 0 0 0 0 1
悪性黒色腫 0 0 0 0 0 0 0 0
悪性リンパ腫 3 4 0 0 0 0 0 1
その他の悪性腫瘍 0 0 0 0 0 0 0 0
リンパ節転移 0 0 0 0 0 0 0 0
歯の疾患
辺縁性歯周炎(P), 根尖性歯周炎(Per) 256 429 737 588 1328 511 654 739
智歯歯周炎(Perico), 埋伏歯、位置異常 139 198 296 144 133 202 244 289
う触症(C) 360 360 300 352
歯の欠損(MT) 60 120 120 110



          

           
 図1.新来患者および入院患者数

       
          
図2.年齢別および性別患者数

       

             
  図3.症例別患者数

         

 
          図4.紹介患者数


  

【医学部学生教育】

 医学部学生に対しては、56年生の臨床実習ならびに3年生の講義を担当している。講義はパーソナルコンピューターを用いた理解しやすい内容と多くの症例を提示し、学生に興味を持たせるよう努力しています。また、毎回の講義終了後に小テストを必ず行い、その日の講義内容の復習とまとめを自学するようにしています。講義前に詳細な内容資料を配布するとともに講義中のパーソナルコンピューターのモニター画像資料を同時に配布し、その内容は福岡大学医学部教育支援システムに通年で掲載しています。「医学を学ぶ人の歯科口腔外科テキスト」を教科書として使用しています。

【医局内教育】

 医局内教育は、毎朝800850の毎週月曜日に研究会、水曜日に抄読会と症例検討会、金曜日に医局会と生検病理カンファレンスを行っています。毎月、第三水曜日の18002000は大学院、医員、研修医のための雑誌輪読会を行っています。また、不定期ではありますが、他院との研究会や症例カンファランスなども行っています。臨床教育の方略は上司が行う診断、治療や手技を見学、参画、解説、それを繰り返すことにより、クリニカルクラークシップにて良医に育つよう人材育成に努めています。また、1.信頼関係(ラポール)の構築、不安除去や環境因子、2.患者中心の医療倫理、3.保険診療点数、景気の動向と医療、4.経費や増患対策、5.院内コミュニケーション、モチベーションの向上、Walker 患者への配慮などの社会医学的知識教育も行っています。

            


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