医学科長挨拶


朔 啓二郎

 医学で学ぶべきものは、医療を支える知識と技術が重要であることは言うまでもありません。一方で、再生医療や遺伝子治療などの新しい概念に代表されるように、深く生命、人間の根源に関わる倫理の学問として追究されるべき時代を迎えています。また、医療における医師と患者の関係も、かつての医師による一方的な医師主導型医療から、両者が納得いくまで話し合って最良の方法を選択し、協力して医療に当たる相互参加型医療へ、さらに患者中心型医療へ変化をしています。したがって、これからの医師は、医学知識、医療技術はもちろんのこと、高い倫理性と豊かな人間性を併せ持たねばなりません。医学科では「人が人を治療する」という原点に立ち、「医科学者」、「医療技術者」としても「人間」としても、質の高い医師の育成をめざします。

 医学科では、質の高い医師を育成するため、記憶中心・詰め込み型ではなく、基本的な内容を効率的に教育する「医学教育モデル・コア・カリキュラム」を採用するとともに、「医師国家試験出題基準」を網羅したカリキュラムを取っております。また、教育スタッフは、学生の知識の応用力アップを意識した指導を心がけ、授業改革のための研修(FD; Faculty Development)を重ねています。

 主なカリキュラムとしては、第1学年から医学専門の科目を設けるとともに看護体験、救急蘇生実習や施設見学などを実施し、早期から医療に触れることができます。第2学年から第3学年前半は基礎医学中心ですが、実習に関しては学生一人ひとりに機器も確保しています。また、学年によっては、問題発見解決型学習(PBL;Problem Based Learning)であるテュートリアル教育を取り入れており、7-8人の少人数グループで、学生自らが調べ、考え、討議し、最終的に問題を解決します。テュータ(担当教員)は、間違った方向に行こうとした場合にのみ軌道修正します。これにより学生の問題解決能力や自学自習の習慣が養われます。第3学年後半から第4学年にかけての臨床医学は、短期集中型の統合教育を行い、また臓器別に内科・外科を融合した統合講義を実施するなど、臨床実習開始前の臨床能力を養う教育を徹底しています。さらに、第4学年の終わりに実施される、臨床実習に必要な知識と技術を評価するための2つの全国大学間共通試験、すなわち共用試験シービーティー(CBT;Computer Based Testing)と客観的臨床能力試験であるオスキー(OSCE; 0bjective Structured Clinical Examination)にも備えています。第5学年から第6学年では、それぞれの指導医の下、外来や病棟でベッドサイドラーニング(BSL;Bedside Learning)を診療参加型臨床実習であるクリニカルクラークシップ(Clinical.Clerkship)も取り入れて実施し、医師に必要な実践的な知識や技能の修得のみならず、患者さんへの対応の仕方を身につけるとともに、医師国家試験への対策も指導しています。