RESEARCH of FCAM2

RESEARCH

革新的細胞・生命プログラムの解明と疾患制御法開発の基盤構築

研究代表者: 白澤 専二

 指導的研究者3名を中心に多数の若手・女性研究者により構成される研究集団として、研究代表者グループが構築してきた細胞・生命プログラムを統合的に解析する研究システムと癌を中心とする疾患の発症・進展に関するこれまでの研究成果を基盤として、分子・細胞・個体レベルでの疾患関連分子の機能解明による細胞・生命プログラムの独創的な概念の創出、および、癌を中心とする多因子疾患発症における革新的な分子機序の解明を行う。また、これらの理解に基づく先駆的な癌の診断・治療法開発、再生医療を含む医療応用開発に向けた基盤的研究を行い、若手・女性研究者の育成・ステップアップとライフ・イノベーションを推進する。


白澤グループ

グループ代表者

白澤 専二: 医学部・医学科・細胞生物学教室・教授、
          先端分子医学研究所長

所属研究者

・安永晋一郎: 医学部・医学科・生化学教室・教授
角田 俊之: 医学部・医学科・細胞生物学教室・准教授
土井 佳子: 医学部・医学科・細胞生物学教室・講師
・石倉 周平: 医学部・医学科・細胞生物学教室・講師

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研究項目・研究概要

1) ZFAT機能解明による免疫・間葉系関連の細胞・生命プログラムの独創的概念の創出
 免疫系および血管新生、血球分化、胎児発生等を含む間葉系関連の細胞において重要な役割を担う転写因子であることが予想されるZFATにおいて、我々は種々のコンディショナルZFAT欠失マウス(T細胞特異的、血管内皮特異的、タモキシフェン誘導性等)を用いた解析を中心に行う。 さらにZFATの分子機能に関しては、ChIPシークエンスを用いたZFAT結合DNA転写領域の解析による制御分子の同定、さらにはZFATと直接会合する分子群等を明らかにすることによりZFAT分子ネットワークの全貌を解明し、ZFATを介した細胞・生命プログラム制御機構における独創的概念の創出を行う。
2) 変異KRAS制御分子の機能解明による癌・代謝システムの細胞・生命プログラムの独創的概念の創出
 変異KRAS制御分子の中には二次元環境とは異なる、より生体環境に近い環境でのみで制御される遺伝子群があり、このような遺伝子群は正常の細胞における恒常性維持においても重要な働きを担っている。
 変異KRAS制御分子のうち、代謝関連分子であるKRAPはIP3Rと会合することにより、カルシウムイオン放出を制御するということが判明した。今後は、生体環境に近いIn vitro培養系を用いて、PDE4、一部のmicroRNAなどの三次元特異的なKRAS制御分子群およびKRAPおよび関連遺伝子がKRASとともにどのように腫瘍制御に関与するのか等の詳細解析を介して、包括的な機能理解による変異KRASが制御する生命プログラムの独創的概念の創出を行う。
3) 幹細胞の基礎的研究と癌制御法の開発
 造血幹細胞を始めとする組織幹細胞は、ほとんどの細胞が静止期にあり、極めて緩徐に自己複製と細胞分化を行う特殊な細胞群である。
 Gemininは、幹細胞の細胞増殖(自己複製)と未分化性を維持の双方を制御する鍵分子の候補である。我々は、Gemininタンパク質の発現動態を可視化することのできるGeminin-EYFPノックインマウスを作成し、またGemininの発現量や機能を制御する分子生物学的または薬理学的方法を開発することで、造血幹細胞や白血病幹細胞の増殖と分化の掛け分け、すなわち細胞運命を制御する分子機構を解明し、正常幹細胞および癌幹細胞における細胞・生命プログラム制御機構における独創的概念の創出を行う。さらに、それを基盤とした造血幹細胞の体外増幅法や白血病幹細胞を標的とした分子治療法の開発を目指す。



鍋島グループ

グループ代表者

鍋島 一樹: 医学部・医学科・病理学教室・教授

所属研究者

濱崎   慎: 医学部・医学科・病理学教室・講師
青木光希子: 医学部・医学科・病理学教室・講師
古賀 佳織: 医学部・医学科・病理学教室・講師LinkIcon病理学教室HPへ

研究項目・研究概要

1) Micropapillary pattern (MPP, 微小乳頭状構造)および Small cluster invasion (SCI, 簇出型浸潤様式)関連分子の解明
 肺腺癌におけるMPPはリンパ節転移と相関し有意な予後因子である。我々はこれまでの研究でMPP陽性肺癌は高率にSCIを呈しリンパ管侵襲を伴うことを報告してきた。本研究の目的はこのSCI(簇出型浸潤様式)のメカニズムの解明である。外科病理材料を用いたスクリーニングよりSCI関連miRNAを選定し、in vitro浸潤モデルを用いて簇出型浸潤におけるその役割を確認する。
2) Imatinibのin vitroおよびin vivoにおける有効性の確認と感受性規定因子の解明
 悪性末梢神経鞘腫(MPNST)は、極めて悪性度が高く、有効な化学療法のない軟部悪性腫瘍である。我々はMPNST細胞株における浸潤促進因子のプロファイリングにより、血小板由来増殖因子(PDGF-BB)を同定した。分子標的治療薬ImatinibはPDGF-BB受容体を阻害し、MPNST浸潤を抑制する。人体外科材料に基づくin vitro/ in vivoモデルにてimatinibの抗腫瘍活性を確認し、imatinib感受性規定因子を決定することを目的とする。

 これらの研究計画は人体病理学的観察や人体材料に基づいた実験病理学的手法を基本としており、いずれもin vivoとin vitroの相互の密な連係によって、実際に生体で生じている事象に則したメカニズム解析を可能としている。これらを通じて、リンパ節転移のメカニズムと分子標的療法剤の感受性規定因子の同定という重要な命題の解明を目指す。


宮本グループ

グループ代表者

宮本 新吾: 医学部・医学科・産婦人科学教室・教授

所属研究者

城田 京子: 医学部・医学科・産婦人科学教室・准教授
伊東 裕子: 福岡大学病院・産婦人科・講師
・深川 怜史: 福岡大学病院・産婦人科・助教LinkIcon産婦人科学教室HPへ

研究項目・研究概要

1) 分子情報に基づいた卵巣癌分類の作製
2) RCAS1シグナルに関わる分子の探索・同定
3) エピジェネテイクスとがん増殖に関わる分子の探索・同定
 近年の卵巣癌の癌化機構の研究成果から、PARP、 FRA受容体、mTOR、HB-EGFが治療の標的分子として注目されている。本研究では、これらの標的分子およびその関連分子を検出できるDNAチップを独自に作製して、標的治療薬による卵巣癌細胞株の遺伝子変化、およびヒト卵巣癌組織を用いて抗癌剤による治療効果や病理組織型と発現遺伝子との関連を解析して、標的分子に基づき卵巣癌を分類し、有用性の高い治療法の選択や新たな治療法の開発に活用する。
 RCAS1は、HB-EGFやAmphiregulin と多くの類似した特性を有したがん治療標的分子であり、次世代女性生命科学研究所において第一期研究期間内に探索されたRCAS1およびRCAS1シグナル経路に関連する分子群と腫瘍形成に伴うRCAS1発現亢進に関わる分子群について独自のDNAチップを作製して、既に作製されたDNAチップにより選別された卵巣癌分類との関係を解析する。この解析により、卵巣癌分類の妥当性や新規の分類の必要性を検証する。
 HB-EGF、Amphiregulin 、RCAS1の3遺伝子はエピジエネティクスによる発現調節を受ける。そこで、それぞれの転写調節領域を決定して、その核酸配列等から転写制御遺伝子を同定し、発現調節とエピジエネティクスとの関連を生命維持機能という視点も含めて解析する。