福岡大学医学部消化器外科

福岡大学医学部消化器外科トップページ»患者様へ»がんペプチドワクチン-

がんペプチドワクチン治療

胃がんは年間約10万人が新たに罹患しています。また、年間の死亡者数はおよそ5万人となっています。がんによる死亡原因として男性では肺癌に次いで2位、女性では1位となっており、日本人にとってとても身近ながんです。胃癌は、早期発見で予後の良いがんの一つと言われています。 しかし発見が遅れると、腹膜や肝臓などの他臓器に転移し、抗がん剤や放射線だけでは克服できないことがあります。当講座では久留米大学との共同研究として、胃がんに対するテーラーメイド型がんワクチン療法を始めました。 当講座では、既存の治療(手術・抗がん剤・放射線)に、免疫療法を加えの癌の克服を目指します。

ペプチドワクチン臨床試験受け付け方法

下記の臨床試験一覧より、資料をお取りください。資料の必要事項をお書きになり、資料内に記載がある郵送先にお送りください。(郵送先:〒830-0011 福岡県久留米市旭町67 久留米大学 ペプチドワクチン事務局宛)
福岡大学医学部消化器外科学講座では、受付、お申込みは行っておりません。受付、お申し込みに関するお問い合わせは、「久留米大学がんペプチドワクチン事務局」へお願いします。 お問い合わせメールアドレスpeptide_vaccine@med.kurume-u.ac.jp
※クリックするとメールソフトが起動します。 (ただし患者さん個別の症状・治療に関するご相談は受付できませんのでご了承ください。)
0942-31-7975
受付時間:平日10:00-12:00, 13:00-16:00

※ワクチンに関するセカンドオピニオン外来は設けておりません。
※電話が込み合っているなど、電話がつながりにくい場合がございます。
※患者さんの個別の治療に関する相談はお受け付けできませんので予めご了承ください

福岡大学医学部消化器外科学講座で行う臨床試験は、自由診療になりますので保険診療ではございません。一定の金額が必要となります。(資料におおよその金額が提示してあります。ご参考ください。) また、参加いただくためには一定の基準があります。詳細は下記の臨床試験の資料からお入りください。

癌種 試験の種類 資料
胃癌 自由診療 こちらをクリック(PDFファイル)

資料の記載が終わりましたら、以下の流れで受診になります。受診は、福岡大学医学部消化器外科講座が行うがんワクチン外来になります。完全予約制(木曜日午後)です。

福岡大学医学部消化器外科学講座
または久留米大学がんペプチドワクチン事務局のホームページから申し込み書類の作成
臨床試験申し込み

久留米大学がんペプチドワクチン事務局
(後日事務局より、福岡大学病院受診日の日程連絡があります。)
福岡大学病院(消化器外科)へ受診
福大病院の受診の流れはこちら
臨床試験の説明
同意
治療開始前検査
試験適格確認
患者さんからペプチドワクチン事務局(0942-31-7975)へ連絡し、適格確認を行ってください。
福岡大学病院(消化器外科)へ受診
福大病院の受診の流れはこちら
ワクチン治療開始

ペプチドワクチンについて

免疫とは

免疫とは自己(自分自身)と非自己(自分でないもの)を識別して非自己を排除するシステムです。例えば、細菌やウイルスなどの微生物は非自己であり、感染した微生物はそれらに対する免疫応答により体内から排除されます。 がんは体の外から来たものではなく、正常な細胞が遺伝子の損傷により増殖のコントロール機能を失いがん化したものです。従って、がん化に際し獲得した正常細胞とは異なった部分を非自己として免疫により認識されます。がん細胞を認識し、 排除に働く免疫システムとしては、ナチュラルキラー(NK)細胞、NKT細胞、キラーT細胞(細胞傷害性T細胞あるいはCTLとも呼ばれる)が知られています。これらの中でも、もっとも進化したタイプがキラーT細胞です。 キラーT細胞とそれ以外の上記細胞との最大の違いは学習能力の有無です。キラーT細胞は学習能力があるので、がん細胞の目印であるがん抗原をワクチンとして投与することによって覚え込ませることができ、 より強力な抗がん作用を誘導することができます。

次にがんと免疫細胞とのバランスについて考えてみましょう。がん患者さんの体内にがんに対する免疫機能が存在しますが、初期のがんは、自分の身体の細胞から発生するため、異物として認識されにくく、また、 がんが進行するとがんの増殖力によって、免疫機能は抑制された状態となります。ここで、外科手術によってがんを取り除くとほとんどのがん細胞が一挙に消滅するため、免疫機能に対する抑制がとれ、体内に残ったがん細胞は免疫細胞 (キラーT細胞やナチュラルキラー細胞)によって排除され、再発せずに長期生存が可能となります。しかし、多数のがん細胞が身体の中に存在する進行がんの患者さんや、免疫機能が弱い(免疫細胞ががん細胞を認識できないか、 もしくは認識できてもがん細胞の数に比べて免疫細胞が少ないためがん細胞を排除することができない)患者さんの場合、手術や抗がん剤治療後に再発し、転移を伴うことが頻繁に認められます。そのような場合、もとより存在する免疫機能のみでは、 がんの増殖を抑えることは困難となります。

がん免疫療法とは

がんに対する免疫応答を増強することによりがんを治そうというのが、がん免疫療法です。免疫に関係した細胞は上述のNK細胞、NKT細胞、キラーT細胞に加え、マクロファージや樹状細胞、ヘルパーT細胞、B細胞などが知られています。 また、血清タンパクとしては抗体や補体もあります。これらのいずれかを活性化する治療法はがん免疫療法の範疇に入ります。

活性化したマクロファージはLAK細胞と同様にがん細胞を殺すことができ、NK,NKT,LAKとともに非特異免疫とよばれています。 非特異免疫を強力に活性化する物質の探索が70年代前後になされ、医薬品として承認されているものもあります。また、患者さんの血液細胞を体外に取り出し、試験管内で活性化した後に患者体内に戻す治療法を細胞療法とよんでいます。 取り出した血液細胞を種々のサイトカインとともに培養すると樹状細胞とよばれる特殊な細胞へと誘導できます。樹状細胞はワクチンなどの抗原情報をキラーT細胞やヘルパーT細胞に効率よく提示する細胞です。 樹状細胞療法も細胞療法ですが、しばしばワクチンと併用されます。

福岡大学医学部消化器外科学講座および久留米大学がんペプチドワクチン事務局で研究している免疫療法は、免疫細胞(キラーT細胞)を増やし(活性化させ)、 がんの再発や増殖を防止しようとする治療です。免疫療法のなかでは特異免疫療法に属します。ペプチドに特異的かつがん細胞を選択的に攻撃するという意味で特異免疫療法といいます。 特異的免疫療法はキラーT細胞のクローン増殖(1日に同じ細胞が2倍になる)をもたらすことができます。

ペプチドワクチンについて

ぺプチドとは、タンパク質の断片のことをいいますが、本臨床試験では9〜10個のアミノ酸からなる人工的に合成したペプチドを用います。使用するペプチドはアメリカ合衆国で行われた臨床試験や、 久留米大学医学部附属病院で行われている幾つかのがんペプチドワクチンを用いた臨床試験で使用した製剤と同じ会社に依頼して合成された臨床用高品質の薬剤を用います。がんペプチドワクチンは、がん細胞に特有のペプチドを患者さんに注射し、 患者さん自身の持っている免疫の力を高めてがんの増大を抑えることを目指して開発されています。すなわち、ペプチドによって活性化された、ペプチドに特異的なリンパ球などの免疫細胞がそれを敵と認識して働き始め、 がん細胞を攻撃し排除するだろう、というのがペプチドワクチンの基本的な考え方です。

従って、がんワクチンには、がん細胞に多く発現するが正常細胞には発現していない、もしくは発現が極めて少ない抗原をがん関連抗原と呼び、がん関連抗原由来のタンパク質のうち抗原性を持つアミノ酸配列を化学的に合成したペプチドを用います。
このようなペプチドにより賦活化されたリンパ球の一種である細胞傷害性T細胞(CTL)は、その抗原をもつがん細胞だけを攻撃し、正常細胞は傷害しないことから、ペプチドワクチンが、副作用の少ないがんの治療法として期待されています。
攻撃の目印となるペプチドは200種類以上あるといわれていますが、そのペプチドは人工的に合成することができます。これを樹状細胞がキャッチするとその情報をTリンパ球に提示して、獲得免疫のT細胞が同じペプチドを持ったがん細胞などに集中攻撃 を仕掛けるという仕組みになります。これまでの私たちの研究により、がん患者さんの血液から採取したリンパ球を試験管内で種々のペプチドと一緒に混ぜて刺激したところ、がんに特異的な攻撃作用を持つキラーT細胞がHLA-A2、A24、A26、A3、A11、 A31、A33陽性のがん患者さんのリンパ球から誘導もしくは増加することが判明しました。

個々の患者さんによって、キラーT細胞を誘導もしくは増加できるペプチドは異なりました。これらのペプチドへの反応性は、リンパ球の血液型でHLA-A2,A24,A26,A3,A11,A31,A33陽性の患者さんのみに限ってみられる特性を有しています。
今回の臨床試験では、多数のペプチド候補からその後の研究結果より有効性が高いと考えられる31種類(HLA-A2陽性患者さんに対しては12種類、HLA-A24陽性患者さんに対しては14種類、HLA-A26陽性患者さんに対しては4種類、HLA-A3,A11,A31, A33陽性の患者さんに対しては9種類)に対して予め試験管内で検査した結果に基づいて反応性の見られたがんペプチドワクチンのうち、反応性の高いものから最大4種類のペプチドを投与します。反応が1つのペプチドワクチンにしかみられない場合、 もしくはいずれのペプチドに対しても反応性がみられない場合には、本試験には参加できません。

このように、ペプチドワクチン療法は、患者さんの血液中に存在するリンパ球もしくは抗体が効率よく反応できる幾つかのがんペプチドワクチンを用いて、がんに特異的な抵抗力(免疫機能)を増大させることでがん細胞を特異的に攻撃し、 殺傷することでがんの増殖を抑制しようとする科学的根拠に基づいた治療法です。

テーラーメイドについて

個々の患者さんにより選択するペプチドが異なりますので、テーラーメイド(オーダーメイド))型の治療法に属します。あなたは洋服を購入するときにどのようにして決めますか?デザイン・色・機能など様々な因子がありますが、 服のサイズも重要な因子の一つです。Small・Medium・Largeなどの既製のサイズの中から、なるべく自分のサイズに合うものを購入します。一方、既製のサイズではなく、自分のサイズを測ってそれに合わせて洋服を作るものもあります。 このような紳士服や婦人用コート類を注文で作る仕立屋・注文服店のことをテーラー(tailor)といいます。テーラーで作られたものをテーラーメイド(tailor-made)といっています。

さて、一般的な薬は、より多くの人がその効果を得られるように創薬されています。しかしながら、本当にそれらの薬はあなたにとって最も効果があるものでしょうか?答えは100%Yesとは答えられないということです。 見方を換えると、一人ひとりに最適な薬を提供できれば、より効果的な治療が可能となります。ペプチドワクチンについて言えば、一定のペプチドを投与するよりも、 一人ひとりに合わせた最適なものを提供するほうがより効率的な治療に結びつけることができるということです。

これを先の自分にぴったりの服を作るということに準えて「テーラーメイドペプチドワクチン」といっています。容姿はそっくりな双子であっても性格や考え方が異なるのと同様に、一人ひとりの体内の免疫機能は異なっています。 その人の生活環境などで免疫細胞が遭遇してきたもの(抗原)にはさまざまなものがあるでしょう。興味深いことに私たちの体の中の免疫細胞は一度遭遇したもの(抗原)について記憶する能力を持っています。そのような細胞をメモリー(免疫) 細胞といっています。いったん記憶されると、次に同じ抗原が再び体内に侵入してきた際に迅速に対応します。「がん」という病気において、私たちの体はただ手をこまねいて傍観しているわけではありません。がんという異常事態に対して、 そこにはがんに立ち向かおうとする免疫細胞たちが少なからず存在しています。テーラーメイドペプチドワクチンは、一人ひとりで異なる、がんに立ち向かおうとしている免疫細胞を応援する(免疫機能の増強)ことによってがんを治療するものです。

福岡大学医学部消化器外科トップページ»患者様へ»-がんペプチドワクチン-

その他のカテゴリー

医療従事者の方へ

入局希望の方へ

福岡大学医学部消化器外科

〒814-0180
福岡市城南区七隈7-45-1
TEL:092-801-1011(内3425)
FAX:092-863-9759

アクセスマップはこちら

受付時間