ごあいさつ

診療について

 腫瘍・血液・感染症内科学教授 髙松 泰

腫瘍・血液・感染症内科学は、臨床腫瘍学、血液内科学、感染症学を専門とする内科学教室です。腫瘍・血液部門は、臓器横断的に固形がん、血液疾患に対する薬物療法を実施しています。抗がん薬の感受性が高い血液腫瘍に対しては治癒を目指した薬物療法を行い、固形がんは外科、放射線科と協力して集学的治療を実践し治療成績の向上を目指しています。また、がんに伴う症状や治療の副作用など身体的な苦痛に加えて、がん患者が抱える精神的・社会的な苦痛にも配慮した緩和医療を多職種で協力して行っています。感染症部門は、病院内で発生した重症感染症患者の治療に介入し、感染症の制御に務めています。

教育について

専門分野にとらわれず内科全体の臨床能力をもつ医師の養成を目指しています。医学生は教科書的な知識だけでなく、医療面接、身体診察、基本的臨床手技、診療録記載などの技能、診療計画の立案や臨床判断などの思考力、診療上の態度(医師のプロフェッショナリズム)を学ぶことが必要です。ベッドサイド教育では、学生が診療チームの一員として診療業務に携わる診療参加型臨床実習を実施しています。 初期臨床研修では、臓器横断的な診療を行っている特徴を生かして全身的に患者や疾患を診ることができる医師を育成しています。患者を中心とした医療を心がけ、エビデンスに基づいた標準的な診断・治療を目指しており、毎日実践的なカンファレンスや回診を行い、研修医の医療レベルの向上をはかっています。後期研修の第一目標は、内科全般の臨床能力を身につけ内科学会専門医の資格を取得することです。学会報告や論文発表を行うことで、考察力やプレゼンテーション能力を身につけます。臨床腫瘍学、血液内科学、感染症学の各専門医を取得するべく臨床力を磨き、医療のプロフェッショナルを育成することを目指しています。

研究について

現在の医療はエビデンスに基づいて実施することが求められており、診断や治療のガイドラインが作成されています。しかしガイドラインに基づいて検査や治療を行っても診断がつかず、症状がよくならないことがあります。その場合は創意工夫して診断法や治療法を考えないといけません。基礎研究に従事することは、問題を解決する方法や能力の修得に役立ちます。優れた臨床医を目指す若手医師は、長い医者人生の中の一時期を基礎研究に勤しむことを勧めています。 臨床研究では、がん薬物療法や支持療法の成績向上を目指して多施設共同臨床試験を実施しています。また病理学教室、薬学部と共同で、腫瘍性疾患の病態解明や安全かつ有効ながん薬物療法の開発を目指した研究を行っています。今後はがんや感染症の発症を予防する研究に取り組み、社会に対してがんや感染症を予防するための啓蒙活動を行っていきます。
質問、ご意見等がございましたら当科のホームページよりe-mailにて問い合わせ下さい。

2016年7月
腫瘍・血液・感染症内科学教授 髙松 泰