患者さんへ

対象疾患椎骨動脈解離

脳動脈解離の解明のための臨床研究

脳動脈解離とは、脳動脈が突然裂ける(解離する)ことで頭痛や脳梗塞、くも膜下出血をおこす病気です。危険因子のない若年者に多く見られる傾向にあり、その病態についてはよくわかっていませんでした。我々は、福岡大学を中心に、福岡市内にある関連病院(福岡赤十字病院、福岡市民病院、白十字病院、福岡東医療センター)が連携し、脳動脈解離に対するデータベースを構築し(Fukuoka Dissection Registry【FDR】)、脳動脈解離の研究を行っています。これまで、本邦において特に頻度の多い椎骨動脈解離の病態を明らかにしたとともに、その成果を治療にも役立てています。また、2011年には「動脈解離と脳卒中」をテーマに当科井上亨教授が全国学会を主催しており、脳動脈解離に関して本邦でのリーディングホスピタルとなっています。

  1. Matsumoto J, Ogata T, Abe H, et al: Do characteristics of dissection differ between the posterior inferior cerebellar artery and the vertebral artery? Journal of stroke and cerebrovascular diseases 23:2857-2861,2014
    後下小脳動脈単独の解離と椎骨動脈解離を比較して後下小脳動脈の解離の特徴を明らかにすることを目的に研究を行った。後下小脳動脈の解離は椎骨動脈解離と比較して、くも膜下出血発症が多く、予後が不良だった。
  2. Kobayashi H, Morishita T, Ogata T, et al: Extracranial and intracranial vertebral artery dissections: A comparison of clinical findings. Journal of the neurological sciences 362:244-250,2016
    頭蓋外の椎骨動脈解離を頭蓋内の椎骨動脈解離と比較することを目的に研究を行った。頭蓋外椎骨動脈解離は若年発症で脳梗塞を発症するケースが多く、閉塞(tapered occlusion)や狭窄(string sign)といった特徴的な形態を呈するケースが多かった。
  3. Takahara M, Ogata T, Abe H, et al: The Comparison of Clinical Findings and Treatment Between Unilateral and Bilateral Vertebral Artery Dissection. Journal of stroke and cerebrovascular diseases 28:1192-1199,2019
    両側に発症した椎骨動脈解離を片側椎骨動脈解離と比較することを目的に研究を行った。両側椎骨動脈解離は脳卒中を発症するケースが多く、特に脳梗塞が多かった。また治療としては血管内治療が多く選択されていた。


2011年Mt.Fuji Workshop

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