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2020年10月のトピックス

トゥレット症候群に関する研究成果が medRxiv に掲載されました

トゥレット症候群とは自分の意志に反して手足や顔面などを動かしてしまう不随意運動症状(チック, tic)や汚言・絶叫などの症状を呈する疾患のことを言います。多くの場合は10歳頃に発症して思春期後に改善しますが、中には症状が持続して悪化を来してしまうような場合もあります。薬物療法や精神心理学的な治療が主に行われますが、日常生活に影響を与えるほど重度の場合には脳深部刺激療法が用いられます。日本国内で重度のトゥレット症候群に対する手術を行える施設は限られていますが、当科では森下医師を中心に国内外の他施設と共同で臨床研究を行っています。

今回、当科とATR数理知能研究室(https://bicr.atr.jp/ncd/#)との共同研究を行い、トゥレット症候群に対する脳深部刺激療法が治療効果や副作用を出現させる際、どのような脳内ネットワークに影響を与えているかを明らかにしました。その研究成果は、プレプリントサーバーである medRxiv に掲載されました(https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.09.29.20200501v1)。この研究では、先進的な画像解析技術を用いて、電気刺激が影響を与える範囲(volume of tissue activated: VTA)やそれと関連したネットワークを、臨床症状にあわせて標準化された脳モデルの中で差別化して表示することに成功しました。結果として、正確な手術を行うことの重要性だけでなく、術後のきめ細やかな刺激調整によって治療成績を改善させることができる可能性を示しました。今後も、さらなる研究の発展が期待されます。

引き続き治療ならびに研究の対象となる方を募集していますので、ご興味をお持ちの方は当科外来までご連絡ください。

トゥレット症候群患者における脳深部刺激療法前後の意思決定機能の評価のための脳活動および行動データ解析(UMIN試験ID: UMIN000039780)
https://upload.umin.ac.jp/cgi-open-bin/ctr/ctr_view.cgi?recptno=R000045353


Twitter で紹介されるなど、海外の研究者達からも注目を浴びています

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