乳癌の放射線治療を受ける方へ

乳房温存術後の放射線治療

  • 乳癌に対する放射線治療は、乳房温存術後の放射線治療、乳房切除後の放射線治療、再発部位(局所、骨、脳など)への放射線治療などに分類されます。
  • 乳房への放射線治療は、リニアックという治療機械で行われます。
  • リニアックによる外部照射についてはLinkIcon
  • このページでは、乳房温存術後の放射線治療について、説明いたします。

放射線治療の目的と効果

  • 乳房の腫瘍の部分切除だけでは、将来的に局所再発が20-30%程度に生じると言われています。部分切除後に放射線治療を行うことにより、局所再発を2-3%程度に抑えることができ、乳房をすべて切除した場合とほぼ同じ効果を得ることができます。ただし、放射線はあてたところ以外には効果はありませんので、転移などを抑制することはできません。

放射線治療の実際

  • 両腕または片腕をあげた姿勢で、手術をした側の乳房全体に放射線をあてます(放射線をあてることを「照射する」といいます)。

breastfig5.png乳房への照射範囲と方向

  • 原則的に、月曜日から金曜日までの週5回、合計25回照射します。X線という放射線で、1回2Gy(放射線の単位で、グレイと発音します)、合計50Gyを照射します。もし、切除したすぐ近くに腫瘍細胞があった場合には、腫瘍のあった範囲のみに照射部位を小さくし、電子線という放射線で、さらに5回ほど追加します(合計30回、60Gy)。
  • 放射線治療にかかる時間は、治療室に入ってから出るまで、10-15分程度、実際に放射線が出ている時間は1-2分程度で、痛みや熱さなどはまったくありません。

放射線治療の副作用

  • 放射線治療に伴う副作用は、治療中に起こるものと、治療後数ヶ月から数年後に起こるものに分類されます。

放射線治療中に起こる副作用

  • 放射線皮膚炎:X線は光の一種なので、日焼けと同じ症状が起こります。治療の後半から、照射部位がやや赤くなったり、ぴりぴりしたりするようになります。治療終了~2週間頃がピークとなり、その後徐々に回復していき、やがて元通りになります。人によっては、日焼け後のように皮がむけたり、熱を持ったりすることもあります。通常はそのままでかまいませんが、ひどい場合には薬を出しますので、お申し出ください。照射部位が汗をかきにくく成ることもあります。
breastchange.png    治療半ばbreastchange2.png    終了時breastchange3.png    1-2週間後breastchange4.png    1ヶ月後

*典型的な一例を示します。数ヶ月で皮膚の色は元に戻ります。ただし、皮膚の反応の程度、期間などには、個人差があります。
  • 倦怠感、食欲不振:症状のない方が大部分ですが、きつい感じがすることがあります。
  • 白血球低下:乳房への放射線治療でわずか白血球が低下することがあります。

治療後数ヶ月から数年後に起こる副作用

  • 手術した側の腕のむくみ:放射線はわきの一部にも当たるため、リンパの流れが悪くなって起こります。以前は数%程度に起こると言われていましたが、最近はリンパ節をとる個数が少なくなったため、以前よりも頻度は少ないようです。
  • 放射線肺炎:放射線は、手術をした側の肺のごく一部に当たります。大部分の方はどうもありませんが、百ー数百人に1人程度、放射線による肺炎が起こることがあります。起こる場合は放射線治療終了後3ヶ月から9ヶ月頃が最も多いと言われています。熱が出たり、咳がでたりしますので、症状がでた場合には、主治医または当院におたずねください。

breastfig6.png放射線は、肺のごく一部にあたります。

  • 心臓の炎症、心臓機能の障害:左に照射する方は、放射線が心臓にわずかに当たりますので、心臓に影響の起こることがありますが、きわめてまれです。
  • 肋骨骨折:照射部位の肋骨が後に骨折することがありますが、きわめてまれです。
  • 発癌:放射線は抗癌剤と同じく、発癌作用があると言われていますが、きわめてまれな副作用です。

以上は、乳房に放射線治療を受ける方全員に必ずしも当てはまるものではありません。
詳細につきましては、担当の医師より説明があります。ご不明な点は、担当医にお尋ねください。

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