パソコン用eccmlogo スマートフォン用eccmlogo




救急医の将来性と専門性

益崎 隆雄  
医療法人隆英会 ますざき医院 理事長






救急医の将来性と専門性


仕事について

Q 現在されてるお仕事の内容をお聞かせください。

大学非常勤講師として、M5の総括、シミュレーション。

開業医として、ますざき医院を鹿児島県さつま町で開業しています。患者層は小児から高齢者まで。

主な診療内容は高血圧症や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病をはじめとした一般内科診療、切創の縫合や粉瘤切除術などの一般外科処置、変形性膝関節症に対する関節穿刺やヒアルロン酸注入などの整形外科的処置、予防接種をはじめとした小児科一般診療をしています。

町民の皆様にご支援、ご指導をいただきつつ、さらに質の高い医療を提供し、地域に愛される診療所を目指しています。


Q 救急医から開業を目指したきっかけは何ですか?

父が人口2万人程度の山間の僻地で診療所を開業しておりました。
地域医療に貢献すべく、父の死後継承しました。
僻地では外傷から小児の診療まで幅広い対応が求められますが、救急をやっていたおかげで何とか地域医療に貢献できているのではないかと思います。


Q 他の病院と違う点やこだわりはありますか?それはどのようなことですか?

消防や鹿児島市内の三次救急医療機関との連携について、他の医療機関に劣ることはありません。



働くメリット

Q 開業してから大変だったこと・成功したこと(やりがい)は何ですか?

介護保険を申請する際に主治医意見書を作成しなければならないのですが、そもそも介護保険というものを全く知らなかったので、最初は高齢者支援のシステムから勉強しなくてはならずちょっと苦労しました。
救急以外の診療科は外来受診がスタートですが、救急医療は現場から始まります。
そのため救急医療は患者さんにより近く関われるものだと思っていました。

しかし開業すると、訪問診療をはじめとして患者さんの日常生活から関わっていかなければなりません。
地域の人々に身近に寄り添い、支えていけることが大変ですがやりがいでもあります。


Q 開業してから役に立った救命センターで経験していてよかったと思えることはどんな経験ですか?

僻地では高度医療を行うためには遠方の高次医療機関へ広域搬送を行う必要があります。
超高齢者においては患者背景を勘案して治療のレベルを決定しなければならず、時には高度医療を行わずに地元で看取っていくことも必要となります。

そのような場合に現在の病状に必要な治療やその後の集中治療について、ご家族に具体的に説明し納得してもらうことが重要となります。
救命センターでの経験がそのような場面で役立ちます(ECMO等について経験がないとうまく説明できません)。



今後の目標など

Q 医師を長く続けるために大切にしていることは何ですか?

研修会などに積極的に参加し知識をup dateしていくこと。

Q 今度の目標を教えてください。

行政との連携を強化し、さつま町の過疎化に歯止めをかけより良い町づくりを目指していきます。

Q 益崎先生が思う救急医の将来性と専門性についておしえてください。

救急医は内因性から外因性まで幅広い知識と技術を有しており、様々な状況で活躍できます。

また日常的に他の診療科や消防や行政等の他職種と連携を取り合って業務を行っており、多職種連携が求められる地域医療の現場や災害時にも活躍できます。

したがって救急医は”行政や政治の場にも進出できる、オールマイティな人材”であると信じております。

 


メッセージ

これから救急医学を学ぶ方、
救命センターに入局する若い世代の方へ

初療室や救急現場における一秒を争う緊張感や躍動感、これぞ救急の醍醐味と言えるでしょう。そこに魅力を感じて救急医になられた先生方も多いのではないでしょうか。私もその一人でした。

しかし、いつまでも第一線で活躍し続けることができる救急医はほんの一握りです。誰もが救命救急センター長になれるわけではなく、いつかは救急現場から離れなくてはならない時が来ます。

現在第一線で活躍されている救急医の先生方やこれから救急医を目指そうとしている研修医の皆さん、救急医の将来について不安を感じたことがありませんか?
心配無用です。救急医こそ開業に向いています。

開業医には定年がありません。体力、知力、気力が続く限り医師として社会に貢献できます。

若い先生方におかれましては、今を大切に集中し救急医として研鑽を積まれてください。