第12回 教授の独り言(2024.4.)
今年も福岡大学医学部医学科の卒業式がありました。そして、5年ぶりとなる謝恩会も開催されました。何人かの卒業生が声をかけてくれました。いずれも学業のことで私と面談をした時の思い出話でした。私は詳細を覚えていませんが、中には厳しい言葉もあったようです。しかし、あそこまで言われたのは初めてだった、しかしそのあとの行動変容につながったので言ってもらってよかった、とお礼を述べてくれました。顔から火が出る思いでした。面談が終わるたびに、自分と話すことが学生さんにとって何か意味があっただろうか、傷つかせただけではないだろうかと常に悩んでいただけに、もったいない言葉でした。もちろん、私のアドバイスは何も役に立っていないと思います。優しさと気遣いからそう言ってくれたのでしょう。学生さんたち自身の努力に他なりませんが、医師という夢を叶えてくれて本当に嬉しく思いました。むしろ、彼らから逞しい回復力を持つことの大切さを教えてもらった気がします。教育する者は縁の下の力持ちに徹することが重要だと聞いたことがあります。主役である学生さんの記憶に一瞬でも残ること、これが教育に携わる自分にとって最高の報酬だと思いました。日々学生さんと接する大学病院で勤務できることを感謝しています。