教室について


福岡大学医学部 衛生・公衆衛生学教室 沿革

 福岡大学医学部衛生・公衆衛生学教室は、(旧)衛生学教室と(旧)公衆衛生学教室が統合され、2011年4月1日に発足し、初代主任教授として、守山正樹(MORIYAMA Masaki)先生が着任されました。守山先生のご退任に伴い、2016年4月1日より、2代目主任教授として、有馬久富(ARIMA Hisatomi)先生が着任され、現在に至っております。
 
(旧)福岡大学医学部衛生学教室
 当該教室は、1974年4月に、江崎廣次(ESAKI Hiroji)先生を初代主任教授として発足しました。その後、1996年3月に江崎先生のご退任に伴って、同年4月に畝博(UNE Hiroshi)先生が2代目主任教授として着任されました。2011年3月、畝先生のご退任に伴い、公衆衛生学教室と統合され、衛生・公衆衛生学教室となりました。
 

(旧)福岡大学医学部公衆衛生学教室
 当該教室は、1974年4月に、重松峻夫(SHIGEMATSU Takao)先生を初代主任教授として発足しました。その後、1997年3月に重松先生のご退任に伴って、同年4月に守山正樹先生が2代目主任教授として着任されました。2011年4月に衛生学教室と統合され、衛生・公衆衛生学教室となり、守山先生が初代教授として着任されました。

衛生学と公衆衛生学の歴史

 衛生学・公衆衛生学という学問に馴染みのない多くの方は、「衛生学と公衆衛生学って何が違うの?」という疑問を持たれるかもしれません。簡単ではありますが、衛生学と公衆衛生学の歴史を紐解いてみたいと思います。

 衛生という考え方が生まれたのは、ヨーロッパの産業革命の頃です。特に19世紀のイギリスでは、都市の急激な工業化や人口流入によって、生活環境汚染、感染症流行、都市スラムの拡大などが問題視され、上下水道整備などの社会的対策が進みました。衣服や住居の消毒、浄水技術、し尿処理法など、生活環境を良好に保つ知識や技術の体系は「衛生(Hygiene)」と呼ばれました。

 一方、公衆衛生は20世紀前半にアメリカで推進された考え方です。社会や政府を動かして環境浄化運動を起こしたり、地域社会を健康に保つシステムを整備したりする、このような衛生を応用的に展開する考え方を「公衆衛生(Public Health)」と呼びました。

 明治時代、日本には、まず「衛生(Hygiene)」の考え方が導入されました。導入のきっかけは、明治時代初期、欧米を視察された長与専斉先生(肥前国大村藩、現在の長崎県大村市出身)です。当時の日本には、養生の発想はありましたが、Hygieneの発想は存在せず、それを表す日本語もありませんでした。そこで、長与先生は、中国の古典から「衛生」という言葉を見出し、Hygieneの訳語としました。それ以後、衛生の考え方は全国に広まりました。明治政府は、国力・軍事両面で日本が欧米の列強に追いつくことに熱心であり、富国強兵が国の指針として重視されました。

 太平洋戦争後、アメリカを中心とする連合国の占領政策下において、「公衆衛生(Public Health)」の考え方が、日本に導入されました。公衆衛生は、衛生の考え方を補完する形で全国に広まりました。時期を同じくして、1948年には、World Health Organization(WHO; 世界保健機関)が創立されています。1949年、アメリカの公衆衛生学者、ウィンスロウ教授(Dr. Winslow)は、公衆衛生を「Public health is the science and art of preventing disease, prolonging life, and promoting physical and mental health and efficiency through organized community efforts.(公衆衛生は、共同社会の組織的な努力を通じて、疾病を予防し、寿命を延長し、身体的・精神的健康と能率の増進をはかる科学・技術である)」と定義しています。

 「衛生(Hygiene)」、「公衆衛生(Public Health)」どちらも環境を整え、疾病を予防し、健康の保持増進をはかることを目的としています。読んで字のごとく「生(せいかつ、せいめい)を衛(まも)る」ものです。衛生・公衆衛生学の大きな特徴として、臨床医学の対象が患者さんであるのに対し、衛生・公衆衛生学の対象は地域社会で普通に生活している人々であることが挙げられます。良い医師になるためには、基礎医学で疾病の機構を学び、臨床医学で個々の疾病の診断と治療を学ぶことは勿論重要ですが、それに加えて、衛生・公衆衛生学で自分たちが住んでいる地域社会の病態や地域社会に普通に生活している方々または地域社会そのものを健康にする方法を学ぶことも大切です。衛生・公衆衛生学を学ぶことによって、病気と向き合うだけでなく、人と向き合うことのできる医師に成長できるのです。

教室へのアクセス

 

教室の所在地
〒814-0180 福岡県福岡市城南区七隈7丁目45-1 医学部研究棟別館5F
福岡大学医学部衛生・公衆衛生学教室
TEL:092-801-1011(内線:3315) FAX:092-863-8892
Email:yukarih@fukuoka-u.ac.jp(担当:林結香里)

地下鉄によるアクセス
福岡市営地下鉄七隈線「福大前駅」下車。 改札口を出て右側(2番出口)が福岡大学医学部方面です。福岡市営地下鉄空港線をご利用の場合、「天神駅」にて乗り換えとなります。天神地下街を通って、「天神南駅」から七隈線にご乗車ください。