主任教授のご挨拶Message

髙木誠司

2021年10月1日付で福岡大学医学部形成外科学講座の主任教授に就任いたしました髙木誠司と申します。

福岡大学における形成外科は、整形外科学講座の御支援のもと、1990年に整形外科内形成外科診療班として黎明を迎えました。ともに福岡大学医学部の卒業生である大慈弥裕之先生と飯田博幸先生の2名での診療活動スタートでした。その後は、1996年に福岡大学病院に「形成外科」という診療科が開設、2007年に医学部に形成外科学講座が開講、そして大慈弥裕之先生が主任教授に就任、と続きます。

私自身は2009年、縁あって、国内留学という形で大阪大学形成外科学講座から福岡大学へと籍を移してきました。当初は数年程度のつもりでしたが。福岡という街と人、福岡大学病院での幅広い形成外科診療、形成外科学講座の研究内容などに惹かれ、いつの間にか10余年。そしてこのたび、大慈弥先生に継いで主任教授の席を任されることとなりました。

福岡大学病院に「形成外科」という診療科ができて25年になります。初め2名だった医師も今では15名近い数になり、実に幅広い領域で診療にあたっています。その中でも当科が特に力を入れている分野は、① 小児形成外科(その中でも唇顎口蓋裂、頭蓋縫合早期癒合症、漏斗胸、四肢先天異常)、② 乳房再建、③ マイクロサージャリーを用いた再建外科やリンパ管手術、④ 眼瞼下垂、⑤ 創傷全般(顔面骨骨折を含む急性創傷から、難治性足潰瘍や褥瘡を含めた慢性創傷まで)です。その詳細は別項や病院形成外科のページをご覧ください。

研究においては、創傷治癒や皮弁内微小血行動態の解明をテーマとしています。また、眼瞼下垂などをテーマにした臨床研究にも取り組んでいます。

そして人材育成ですが、「形成外科医である前に、まずは良き社会人たれ。」これは毎年4月の新人オリエンテーションで私が発している言葉です。我々の仕事は数多くの病院職員・院外関係者の協力のもとに成り立っており、常に謙虚さと感謝の念をもって仕事をして欲しい、との思いからです。その上で、形成外科医としての最高の喜びは、「自らのこの手にメスを持ち、まずは自分自身が納得のいく形態を創り上げ、次にそれを患者さん・その家族が同じように喜んでくれて、今までとは違う前向きな気持ちで社会に関わり、人生を楽しんで頂けるようになる。」ここに尽きます。教室員の先生にも少しでも早くこの「喜び」を感じてもらいたい。そしてもっと大きな喜びを体感できるよう、さらに上のステップを目指して欲しい。そのような思いで教育プログラムを立案し、指導にあたっています。

「すべては患者さんのQOL向上のために!」そのような想いのもと、教室員一同とともにますます精進していきたいと考えています。

2021年10月1日
髙木誠司