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学生専用
試験対策問題について
◆ 各科試験、BSL試験、卒業試験、国家試験対策問題です。
問題:70歳女性。めまいの精査でMRIを施行したところ、異常を指摘された。この患者のMRIを下記に示す。この疾患について間違っているものを2つ選べ。

  

  • 女性に多い
  • 大脳から発生した腫瘍である
  • ほとんどが良性腫瘍である
  • 栄養動脈は外頸動脈系のことが多い
  • 全摘出後に放射線治療が必要なことが多い

正解:b,e

解説:
左傍矢状洞に発生した髄膜腫の一例である。造影MRIでは、均一に造影される類円形の腫瘍でextraaxialと思われるので、髄膜腫と考えてほぼ間違いない。
髄膜腫は、女性に多く女性ホルモンの関連がいわれることもある。発生は硬膜のある場所ではどこでもできる可能性がある。大脳から発生する腫瘍の多くはグリオーマであり悪性であるが、硬膜より発生する髄膜腫はほとんどが良性腫瘍である。
 脳血管造影では中硬膜動脈などの外頸動脈系から栄養され、特徴的なsun -burst appearanceを認めることもある。良性腫瘍であるので全摘出後放射線治療は必要ない。
症例は45歳女性。主訴:頭痛、空咳。既往癧:Peutz-Jegher症候群あり24歳のとき、結腸切除術を受けた。家族癧:母親がPeutz-Jegher症候群である。生活歴:飲酒は付き合い程度、喫煙は1日5本で15年間、その後禁煙している。
現病歴:約3週間前から頭痛、咳、全身倦怠感があったが、発熱はなかった。感冒であろうと思い、市販薬の内服で様子をみていた。鎮痛薬を併用して症状は一時良くなったが、1週間前から鎮痛薬を内服しても頭痛は短時間しか軽快せず、空咳が続いていた。昨日から朝起床時より頭痛がひどく、良くならないため来院した。
神経学的所見:意識は清明、頭痛は頭全体にあり、「ずきんずきん」とした痛み。吐き気はない。瞳孔は同大、眼底所見でうっ血乳頭を認めた。失語症や感覚・運動障害はない。頭部造影MRIで右側頭葉に3cm径の腫瘤がみつかった。来院翌日、右側頭葉の腫瘤を緊急手術で摘出した。摘出標本の病理像を示す。免疫染色の結果はCK 20陰性、TTF-1陽性であった。

  

正しいのはどれか。1つ選べ。
  • 大腸癌からの転移が最も疑われる
  • 脳膿瘍が最も疑われる
  • 肺腺癌からの転移が最も疑われる
  • 肝細胞癌からの転移が最も疑われる
  • 脳原発の膠芽腫である

正解:c

解説:
頭部MRI検査では、右側頭葉後部にリング状増強される腫瘍がある。画像上鑑別となるのは、膠芽腫と転移性脳腫瘍、脳膿瘍であるが、臨床上発熱はなく炎症を示唆する所見がないことから脳膿瘍は否定的である。摘出標本の病理は腺癌の像で、免疫組織化学検査でTTF-1陽性(肺腺癌80%陽性)、CK 20陰性(大腸癌や直腸癌で高発現)であり、肺原発の腺癌からの転移が強く疑われる。全身精査を行ったところ、本患者は右S6領域に腫瘍が見つかった。なおPeutz-Jegher症候群の胃、大腸のポリープは過誤腫性である。
【症例】6歳 男児
【病歴】友達と遊んでいて右側頭部を打撲した。翌日同部が腫脹しており、ぶよぶよしていた。その後徐々に範囲が拡大し両側性となり近医脳外科受診の後に紹介された。入院時Hb8.9mg/dlと貧血があり、血小板数、凝固時間は正常であった。頭部CTでは線状骨折や縫合離開、頭蓋内出血は認められない。



診断は?
  • Subcutaneous hematoma
  • Subgaleal hematoma
  • Subperiosteal hematoma
  • Pseudomeningocele
  • Sinus pericranii

正解:b. 帽状腱膜下血腫

解説:
頭部打撲後の所謂「こぶ」を診察する際、下記の鑑別が必要である。
a: 皮下血腫。一般的に最も多く経験し、軟部組織内の挫傷、点状出血がおこり、これに浮腫を伴って硬い皮下腫瘤が形成される。特別な治療は必要なく数日で吸収される。
b,c: 帽状腱膜下血腫、骨膜下血腫。小児では帽状腱膜?骨膜間、骨膜?骨間の結合が疎である事から、同部に血腫を作りやすい特徴がある。aとの鑑別点はぶよぶよした柔らかい皮下腫瘤として触知される点である。b,cの鑑別はbであれば縫合線をまたいで増大する可能性があり、cでは縫合線を越えない。治療法として確立されたものはないがbでは弾性包帯による圧迫を行い、吸収が悪い場合に穿刺・排液する。cでは経過観察し、吸収が悪い場合に穿刺・排液する。
d,e: Dは偽性髄膜瘤。骨折に伴い硬膜、くも膜が共に断裂され、髄液が帽状腱膜下に流出・貯留した状態である。小児では骨と硬膜との癒着が強く、硬膜が薄く断裂しやすいことから生じる。eは頭蓋骨膜洞。静脈洞近辺に頭蓋骨骨折が起こり、骨折部を通して静脈洞と交通のある血腫を骨膜下あるいは帽状腱膜下に生じた状態。d,eの診察上の特徴は柔らかい皮下腫瘤でかつ圧縮性(押さえると縮小する)を有すること。また頭位変換により増減が見られる事である。骨折を伴って柔らかい腫瘤を経験した場合d,eを考慮しなくてはならない。
またdでは穿刺すると髄液が、eでは血液が吸引できるわけだが、eでは血液を証明したとしても、帽状腱膜下血腫と間違えて吸引し続けてはいけない。続行すれば死ぬまで血液が吸引できることになる。
【参考文献】 
金芳堂 脳神経外科学II 第10版 P1303-1309
永井書店 頭部外傷を極める P80, P194-195
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