ECMO center重症呼吸不全に挑む、九州唯一のECMO治療専門施設
福岡大学病院 ECMOセンター
体外式膜型人工肺(Extracorporeal membrane oxygenation: ECMO)を専門とする、九州で唯一の重症呼吸管理に特化した治療専門施設です。
2020(令和 2 )年、Coronavirus disease 2019(COVID-19)のパンデミック時にはCOVID-19重篤患者の受け入れを積極的に行い、ECMOを用いた先進的な集中治療管理を行うことで地域医療に貢献してきました。 同年7月には、福岡大学病院 救命救急センター併設型のECMOセンターとして開設。
2021(令和3)年10月には、ECMO専用搬送車両「ECMO Car」も九州で初めて導入し、重症呼吸不全患者の長期搬送に対応できる様になり、県内全域からECMOを必要とする患者の受け入れを行っています。
センター長
福岡大学病院 ECMOセンター センター長 仲村 佳彦
ECMOとは
ECMO(エクモ)は”Extracorporeal membrane oxygenation”の略であり、日本語では 「体外式膜型人工肺」と呼ばれています。 ECMOは血管内に留置したカニューラから血液を大量に取り出し、血液を人工肺に通すことで血液を酸素化させます。 そして、酸素化した血液を体内に戻すことで肺や心臓の機能をECMOで肩代わりすることができます。
ECMOは大きく3つに分類されます。
- 呼吸ECMO (Respiratory ECMO)
- 循環ECMO (Cardiac ECMO)
- ECPR
人工呼吸器や昇圧剤では生命を維持できない程に重篤な呼吸・循環不全に対してECMOを用いることで生命を安定化させます。そして、ECMOでサポートしている間に根治療法を行い、生命を一時的に支える「命をつなぐ治療法」です。 近年、ECMOは予後を改善させる可能性が注目されています。
当センターの特徴
年間10例以上の高水準ECMO管理実績
主に呼吸ECMOに特化しており、年間10件以上の実績を持ち、生存率は70%以上と国際水準です。
国際認定ECMOセンター
当センターは、世界的なECMOの研究・教育機関である「ELSO(Extracorporeal Life Support Organization)」から認可された、九州唯一の認定施設です。
これまでの3次救急医療機関で扱ってきた重症病態に対する治療に加え、国際レベルの呼吸不全に対するECMOを用いた集学的治療にも注力しています。
海外研修で磨かれた技術
スウェーデン・カロリンスカ大学病院ECMOセンターなど、世界有数のECMO施設に複数のスタッフを派遣するなど、継続的に海外施設での研修を重ねることでスタッフのECMO管理の技術向上に努めています。
高度なチーム医療
医師・臨床工学技士・看護師・理学療法士など、多職種が連携し、質の高いECMO管理を提供しています。
「ECMO搬送」にも対応
人工呼吸器搬送が困難な程に呼吸状態が不安定な場合は当センターのチームが紹介元病院まで出向いて、ECMOを導入し、我々が患者を搬送する「ECMO搬送」も実施しています。
2025年5月時点の症例数です。
2020年には救急車搬送で2件対応しました。
ECMO Car – 九州初の導入
福岡大学病院では、2021年10月に九州で初めて「ECMO Car」を導入しました。
ECMO Carは、ECMO治療が可能なストレッチャーを搭載し、ストレッチャーの両側での作業が可能となるスペースも確保されています。また、治療をしやすくするために天井も高く設計され、「動く集中治療室」として期待されます。車内には通常の救急車の約10倍の高容量バッテリーや同約2倍の酸素ボンベを搭載しており、福岡県内外の広域搬送が可能となります。
ECMO Carの導入で、患者さんにより早期にECMOを装着し、適切な施設に搬送することができるようになります。患者さんを待つのではなく、こちらから出向いてでも早く救命処置を行う“攻めの救急”をさらに進めていきます。
特徴
- ECMO搬送専用ストレッチャーを搭載: ECMOを装着した重篤な呼吸不全患者の搬送に特化
- 両側からの処置が可能な広い車内空間
- 高容量バッテリーと酸素ボンベを搭載: 広域搬送が可能
- 平時はドクターカー、災害時はDMATカーとしても稼働
- 日本財団の助成を受け導入
このECMO Carにより、「動く集中治療室」として、より早期に治療開始・搬送が可能になりました。
仕様
福岡大学病院 ECMOセンターのECMO Carの仕様は 「 Tri-Heart ドクターカー Mobile ECMO仕様 Ⅷ 」です。特別仕様のドクターカーで、全国に配備されており、当センターにはTri-Heart 100号車が納車されました。
福岡大学病院 ECMOセンター Tri-Heart ドクターカー Mobile ECMO仕様 Ⅷ 製品概要.pdf | 株式会社 赤尾
救急車両 ドクターカー Mobile ECMO仕様 | 株式会社 赤尾
医療関係者の皆様へ
ECMO搬送のご依頼
福岡大学病院(代表)TEL:092-801-1011
「救命Dr.リーダー(PHS 6119)」宛てにお伝えください。迅速に対応いたします。
福岡大学病院ECMOセンター搬送依頼相談基準(目安)
① 年齢:70歳以下
② 日常生活動作:ADL自立
③ 低酸素血症 (PaO2/FiO2比<100)
④ 高二酸化炭素血症 (PaCO2>80、pH<7.2)
⑤ 人工呼吸管理が難しい程の 高度なエアリーク状態
⑥ 相対的禁忌
・人工呼吸器開始から7日以上
・悪性腫瘍などの不可逆的な臓器障害
※上記を満たさない場合でもご相談いただけます。
また、ECMO管理に関するご相談だけでも構いません、ECMOに関するあらゆる相談に可能な限り対応いたします。
お気軽にご連絡ください。
見学・研修をご希望の方へ
当センターは見学者や研修生を積極的に受け入れています。研修・講習会も随時開催予定です。
医学生・研修医・ECMO Physician志望の方も歓迎します。
お問合せ
福岡大学病院 救命救急センター/ECMOセンター
TEL.(092)-801-1011(代表)
救命救急センター 救命Dr.リーダー(PHS 6119)まで
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福岡大学医学部 救命救急医学講座
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