教授挨拶

教授 久保真一

法医学というと犯罪や事件・事故に巻き込まれて亡くなった方を解剖するイメージが大きいと思います。しかし、高齢社会の進行に伴い日本の総死亡数は120万人を超え、法医解剖の対象も、事件・事故の解明ばかりでなく、孤独死に代表されるように、死因の究明のための解剖も増加しています。法医解剖数は全国的にも増加し、年間18,000体に上っています。

このように法医学は、死因の究明に大きな役割を担っています。死因の究明は「最後の医療」、尊厳を護る「最後の砦」と言われています。

福岡大学医学部法医学教室では、死因の究明にあたり、病理学検査をはじめ、薬毒物検査、アルコール検査他、様々な検査等を実施し、より精度の高い死因の診断を目指しています。

研究にあたっては、「法医実務に還元できる研究」をモットーに研究に取り組んでいます。福岡大学医学部法医学教室は、法医病理学、法中毒学、法医血清遺伝学の3つの研究領域に取り組んでいます。特に、薬毒物分析で有数の実績を誇っております。社会医学系総合研究室をベースに、ガスクロマトグラフ・質量分析装置GC-MSや最新のGC-MS/MS、液体クロマトグラフ・質量分析装置LC/MS/MSを駆使し様々な薬物の分析、研究に取り組んでいます。

教育にあたっては、2つの視点で教育に取り組んでいます。死因の究明(例えば、死体検案、法医解剖)は、死者に対する「医療行為」です。「死者を診る医師」として必要な知識と技術の習得を目指し、学部教育、大学院教育、卒後・生涯教育に当たっています。一方、児童虐待の被害者の損傷診断のように生きている患者さんに対する「医療行為」の教育にも力を注いでいます。

教授 久保 真一

ロゴに寄せて

福岡大学医学部法医学教室ロゴマーク

福岡大学医学部法医学教室は、法医病理学、法中毒学、法医血清遺伝学の3つの研究領域に取り組んでいます。
ロゴの3つの円は、3つの研究領域をイメージしてデザインしたものです。