福岡大学病院は福岡市南西の住宅地に位置する915床の特定機能病院であり、福岡県認定の救命救急センターおよび総合周産期母子医療センターを併設しており、福岡・糸島医療圏の三次医療施設として高次の医療を提供している。内科系は7診療科と総合診療部に分かれ、総合診療部は外来と病棟及び二次救急(ER)を担当している。2013年4月より開始された二次救急診療部は2014年4月よりacute care center(ACC:急患診療部)としてまとめられ、現在では総合診療部(ER)として救命救急センターと救命救急センターと協調して地域の救急医療を担うとともに、地域医療やプライマリ・ケア医育成に貢献している。大学病院の特徴を生かし、全ての診療科によるバックアップ体制のもと、教育に熱心な環境で総合診療に関する研修と臨床研究が可能である。
理念:内科診断学とERが総合診療の基礎である!
将来、優秀な町医者(プライマリ・ケア医、総合診療医)になるために、当科が特に力を入れているのは内科診断学とER診療である。そのため本プログラムの特徴は、主として福岡大学病院の総合診療部において総合診療II、内科、救急医療を研修し、内科診断学と初期診療を一貫して学んでもことである(希望により他院研修も可能)。また、ERでは外傷の処置が出来るようになる研修を行う。総合診療Iにおいては連携している中規模病院(僻地を含む)にて、慢性疾患・地域医療・家庭医療・緩和医療を研修し、内科診断学を応用する力を付ける。漢方医学履修も可能である。上記以外の領域別研修は原則として行わない。
3年間を通じて不定期に福岡大学病院にて勉強会および隔週木曜日に抄読会を行う。僻地で研修している場合は、インターネットのテレビ電話を通じてこれに参加する。また、年に2回、ポートフォリオ発表会を行う。福岡大学病院総合診療科(総合診療II、内科、救急)にて研修している期間は、毎朝と毎夕に症例(入院患者+外来患者)検討カンファレンスを行っている。さらに、プライマリ・ケア連合学会、病院総合診療医学会等への発表、及び論文作成を積極的に奨励し、その指導を行う。プライマリ・ケアに必須の漢方医学に関しての研究、症例検討会も行っている。総合診療Iでは、地域連携や他職種連携の会、あるいは医師会や自治体が行う住民に対する健康支援活動に参加する。学会では、最低年1回発表するように教育する。
プログラム責任者は、総合診療部・急患診療部・東洋医学診療部の責任者を兼任しているため、プログラムの全ての期間にわたり、一貫して総合診療部が直接教育体制に関与し、プライマリ・ケアに必要な知識と経験を修得することが可能である。総合診療研修Ⅰに関しても、研修病院に総合診療部の勤務医がいるため、プログラム責任者の声が届きやすく、一貫した研修が期待できる。
プログラム責任者(鍋島)は、福岡大学病院の地域医療連携センターの副センター長をかねている。大学病院においては、地域住民に対して福大健康セミナーを開催して、健康意識の啓蒙・普及をめざしている。また、入院患者が退院する際は、ホームドクター・在宅に向けて後方支援専門看護師・ソーシャル・ワーカー・役所と連携する。福岡大学は東北の復興支援を毎年行っているが、その際は、総合診療部にて破傷風トキソイドの接種をおこなっている。
モデルとなるローテーション例
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1年目 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | |
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施設名 | 福大 | 福大 | 福大 | 福大 | 福大 | 福大 | 福大 | 福大 | 福大 | 福大 | 福大 | 福大 | |
領域 | 内科 | 内科 | 内科 | 内科 | 内科 | 内科 | 内科 | 内科 | 内科 | 内科 | 内科 | 内科 | |
2年目 | 施設名 | 田川 | 田川 | 田川 | 田川 | 田川 | 田川 | 北川 | 北川 | 北川 | 北川 | 北川 | 北川 |
領域 | 小児 | 小児 | 小児 | 救急 | 救急 | 救急 | 総Ⅰ | 総Ⅰ | 総Ⅰ | 総Ⅰ | 総Ⅰ | 総Ⅰ | |
3年目 | 施設名 | 福大 | 福大 | 福大 | 福大 | 福大 | 福大 | 福大 | 福大 | 福大 | 福大 | 福大 | 福大 |
領域 | 総Ⅱ | 総Ⅱ | 総Ⅱ | 総Ⅱ | 総Ⅱ | 総Ⅱ | 総Ⅱ | 総Ⅱ | 総Ⅱ | 総Ⅱ | 総Ⅱ | 総Ⅱ |
プログラムの全体構成(月単位の換算による)
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総合診療 専門研修 |
総合診療専門研修Ⅰ ( 6 )カ月 |
総合診療専門研修Ⅱ ( 12 )カ月 |
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領域別 研修 |
内科 ( 12 )カ月 |
小児科 ( 3 )カ月 |
救急科 ( 3 )カ月 |
その他 ( 0 )カ月 |
後期研修に参加された方のキャリアパスの一例です。他にも国内・海外留学や地域医療に関する研究などをオプションとして加えることが可能です。参考にしてください。