患者さんへ

対象疾患もやもや病・脳動静脈奇形

もやもや病

もやもや病とは、両側の内頚動脈が進行性に狭窄、閉塞し、脳梗塞や脳出血を引き起こす病気です。内頚動脈が閉塞してくると、代償性にもやもやとした異常血管網(もやもや血管)が発達してきます。発症のピークは小児期と成人期の二峰性であり、小児期に発症したものはほとんどが脳梗塞を引き起こすのに比べ、成人期に発症したものは脳梗塞と脳出血が半々です。もやもや病は原因不明で根治治療法はありませんが、バイパス手術を行うことで減少した脳血流を補い、脳梗塞や脳出血を予防できるというエビデンスが確立されています。バイパス手術には、直接頭皮の血管を脳動脈に吻合する直接バイパス術と、筋肉や硬膜などの血流豊富な組織を脳表と密着させる間接バイパス術があります。

脳動静脈奇形

脳動静脈奇形とは、胎生期に動、静脈が発生する時に、動脈と静脈が毛細血管を介さずに異常血管塊(ナイダス)を形成する病気です。脳出血やけいれんで発症することがあります。年間の出血率は約2%とされていますが、一度脳出血を起こした場合は、とくに次の1年での再出血の危険性が高くなります。脳動静脈奇形の治療法は、開頭摘出術、放射線治療、血管内治療、およびそれらの複合治療が挙げられます。すべての脳動静脈奇形が対象になるわけでなく、発症様式やサイズ、発生場所、血管解剖に基づき決定されます。

また、硬膜動静脈瘻に対する血管内治療、海綿状血管腫に対する脳幹部への深部アプローチなど、特殊な脳血管障害に対する治療も行なっています。

これらの病気は非常に稀でありますが、大学病院の特徴である豊富な手術経験に基づき、手術効果やリスクを考慮して、患者さんそれぞれに合った治療法を選択しています。

出血発症の脳動静脈奇形
出血発症の脳動静脈奇形

出血発症の脳動静脈奇形
 

Onyxによる塞栓術後に摘出術
Onyxによる塞栓術後に摘出術

もやもや病のMRI
もやもや病のMRI

直接バイパス術
直接バイパス術

術後
術後

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