患者さんへ

対象疾患間脳下垂体腫瘍

間脳・下垂体腫瘍(トルコ鞍部腫瘍)

トルコ鞍部に発生する腫瘍は原発性脳腫瘍の約22%を占めます。その大部分は下垂体から発生する下垂体腺腫です。その他、下垂体原基の遺残から発生すると考えられている頭蓋咽頭腫と、非腫瘍性のラトケ嚢胞があります。

間脳・下垂体腫瘍(トルコ鞍部腫瘍)

間脳・下垂体腫瘍(トルコ鞍部腫瘍)

【写真左】トルコ鞍は拡大し、造影MRIで造影される腫瘍で満たされています。
【写真右】腫瘍の病理組織像です。卵円形の核を有した腫瘍細胞が血管を中心に配列しています。

発生頻度

全国脳腫瘍集計調査報告では、下垂体腺腫は原発性脳腫瘍の19.2%と、比較的頻度の高い腫瘍です。女性にやや多く、男女比は1:1.3とされています。

頭蓋咽頭腫は原発性脳腫瘍の2.5%とされています。このうち24%が15歳未満の小児例であり、小児脳腫瘍の8.3%を占めています。

ラトケ嚢胞は原発性脳腫瘍の2.1%とされています。若年成人に多くみられ、男女比は1:2で女性に多くみられます。

症状

腫瘍によって視神経や正常下垂体組織ならびに視床下部が圧迫されることで、視野障害や視力低下、発育遅延、認知機能低下、性格変化などが生じることがあります。その他、下垂体腺腫の場合は腫瘍によって産生された過剰なホルモンによる症状で、巨人症や先端巨大症、乳汁漏出や無月経など多彩な症状がみられます。

治療

治療は内分泌内科と連携して行います。下垂体腺腫の場合には術前に腫瘍がホルモン産生性のものかどうかを内分泌内科で検査します。その後、脳神経外科で神経内視鏡を用いて、右の鼻の孔から腫瘍摘出術を行います。頭蓋咽頭腫の場合も同様に神経内視鏡を用いて経鼻的に腫瘍摘出を行います。術後は下垂体の内分泌機能が低下するため、ホルモン補充療法を行います。

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