患者さんへ

対象疾患顔面けいれん

顔面けいれんとは自分の意思とは関係なく、左右どちらかの顔面がピクピクとけいれんする病気です。目の周りのピクピクから始まり、次第に口元から顎下など顔全体に広がり、さらに進行すると顔がつっぱり、歪んだ状態になることもあります。特に女性に多く、ストレスや緊張により悪化するため、人前で話すことが苦痛となることがあります。原因は脳の血管が伸展・蛇行することにより、脳幹から出た顔面神経の根本を圧迫し、神経の電気信号が乱れ、顔の筋肉に刺激が伝達することでけいれんします。診断にはMRI CISS、造影CTが有効で顔面神経を圧迫する責任血管を同定します。治療は主に2つで、ボトックス治療と外科手術があります。
ボトックス治療は、ボツリヌス毒素を顔面の筋肉に注射し、筋肉を軽く麻痺させることでけいれんを抑えます。効果は期待できますが、数ヶ月から半年で消失しますので繰り返し治療が必要になります。若年者や根治を強く望まれる方は外科手術を検討します。

手術:微小血管減圧術(MVD: microvascular decompression)

耳の後ろを開頭し、手術用の顕微鏡を用いて、小脳と骨の間から進入し、顔面神経を圧迫している血管を確認します。顔面神経からはがし、圧迫しないように移動させて固定します。手術は全身麻酔で行い、10日から2週間の入院加療を要します。手術により9割以上でけいれんの消失、軽減を確認できますが、治り方はさまざまです。手術直後から消失することが最も多く、術後数ヶ月かけて徐々に効果が表れてくることもあります。
当院では手術中に、聴力(ABR)や顔面筋からの異常な筋反応(AMR)をモニターしながら安全・確実な手術を心がけています。

右顔面けいれん

右顔面けいれん
MRI CISS画像, CTAで責任血管を同定、3Dイメージ画像も作成

右顔面けいれん
動脈が圧迫していた顔面神経には圧痕が見られる

右顔面けいれん
動脈を移動させ圧迫を解除している

右顔面けいれん

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