患者さんへ

対象疾患手根管症候群・肘部管症候群・腓骨神経障害・足根管症候群

脳神経外科では、脳や脊髄だけではなく、手足の末梢神経疾患まで外科的に治療します。末梢神経疾患では、手先や足裏に至るまであらゆる部位の痛み、しびれ症状をきたす可能性が考えられます。一般的に知られている疾患もありますが、あまり耳にしない疾患もありますので、当てはまるような症状があればぜひ一度受診をお勧めします。内服薬などによる治療を基本的に行いますが、改善が得られない場合は手術を行います。

1.手根管症候群

主に手の母指~薬指のしびれや、痛みが出現します(夜間・早朝がひどくなります)。また進行する手の筋力低下も出現し、物がつまみづらくなります。これは手首のところで、厚くなった靭帯で正中神経が圧迫されるために起こります。軽度の場合は手の安静や、痛み止めで経過をみます。またブロック注射が有効なこともあります。しかし進行例や繰り返す場合は、手術を行うことで症状の消失・軽減します。実際には局所麻酔をして、約2cm皮膚を切開し、肥厚した靭帯を切開します。これで神経の圧迫が解除されます。

手根管症候群

黒斜線:しびれの範囲、 赤線:手術時の皮膚切開線

2.肘部管症候群

主に薬指から小指、肘から手先にかけてのしびれや痛みを生じます。肘を曲げることで痛みが増強することが多いです。尺骨神経が、その名の通り肘部管という神経の通り道で靱帯によって圧迫されることで肘から薬指や小指にかけてしびれや痛みを起こします。手術では肘の内側を3cmほど切開し、肘部管を形成する靱帯を切開して神経の圧迫を解除します。

3.腓骨神経障害

膝より下の下腿の外側に痛みやしびれの原因になります。悪化すると、前脛骨筋の筋力が落ちるため、つま先が上がりにくくなります(drop foot, 下垂足)。歩行により症状が悪くなることが特徴で、腰椎疾患とも区別する必要があります。原因がわからないこともありますが、長時間の正座や足を組んだ姿勢などによる神経の圧迫も原因になることがあります。日常生活習慣が原因の場合は、習慣を変えることで症状の改善が見込めますが、体質的に神経が筋膜などの結合組織によって慢性的に圧迫を受けている場合には手術が必要となります。

4.足根管症候群

足裏の特に前側(つま先側)に痛みやしびれが生じるため、歩行などの日常生活動作に影響を及ぼします。また、灼熱感や冷感、”餅がついたような感じ”が起こることもあります。糖尿病による末梢神経障害(特に足裏のしびれ・痛み)と区別が難しいこともあります。内服薬による治療で改善が乏しい場合は治療の対象となります。手術では、踝の後ろを3-4cm程切開し、圧迫の原因となっている屈筋支帯という靱帯を切開します。

足根管症候群

踝の後ろを通る脛骨神経が圧迫されることで写真の黒線のような範囲でしびれや痛みが生じます。

PAGETOP

Copyright 2020 Department of Neurosurgery Faculty of Medicine Fukuoka University. All Rights Reserved.