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留学について

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宮田 康平
宮田 康平
Kouhei Miyata

- 役 職 -
産科外来医長、准教授


- 略 歴 -
2006年 福岡大学 卒業
2014年 福岡大学大学院 医学研究科 先端医療科学系専攻 博士課程 修了
2015年 スクリプス研究所(アメリカ合衆国)リサーチアソシエイト
2019年 福岡大学病院 講師
2021年 福岡大学病院 准教授


- 専門 -
産婦人科全般、婦人科腫瘍学


- 役職・資格 -
医学博士
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医・指導医
母体保護法指定医
新生児蘇生法 NCPR 修了認定


宮田 康平
宮田 康平
Kouhei Miyata

- 役 職 -
産科外来医長、准教授


- 略 歴 -
2006年 福岡大学 卒業
2014年 福岡大学大学院 医学研究科 先端医療科学系専攻 博士課程 修了
2015年 スクリプス研究所(アメリカ合衆国)リサーチアソシエイト
2019年 福岡大学病院 講師
2021年 福岡大学病院 准教授


- 専門 -
産婦人科全般、婦人科腫瘍学


- 役職・資格 -
医学博士
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医・指導医 , 母体保護法指定医 , 新生児蘇生法 NCPR 修了認定


海外留学までの道のり

 私は2015年10月から2018年3月までアメリカ合衆国、カルフォルニア州サンディエゴのスクリプス研究所に研究留学をしていました。思い立ったきっかけは父親が過去に留学しており、「海外留学はするもの」と思っていたから、という浅はかなものです。

 大学院に進学後、当時新任されたばかりの当講座の宮本新吾教授の唐突な国内留学の勧めから、国立成育医療研究センター研究所にて現・東京医科歯科大学システム発生・再生医学分野の淺原弘嗣先生に分子生物学にイロハをご指導いただきました。この国内留学で基礎研究の奥深さと、未知の領域の可能性を学びました。具体的な内容は、骨格筋発生・分化の過程でDNA配列は変化していないにも関わらず、細胞分裂後に遺伝子発現の記憶が引き継がれます。これにはエピジェネティクスと呼ばれる遺伝子制御機構が関連しており、このうち骨格筋分化に重要な転写抑制因子Rp58とDNAメチル化の関連について研究しておりました。

 大学院卒業時にこのテーマで継続して継続して研究を行いたいと考えるようになりました。留学先は関連研究を行っている研究室にapplicationを大量に送ったり、オンラインで面談などもしましたが、最終的には関連のあったScripps研究所のMartin K. Lotz教授にお世話になることになりました。

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海外での研究

 幸運にもこれまでの研究を引き続き行える様に采配していただき、海外での研究がスタートしました。
 所属した研究室では主に腱や軟骨などの体の骨格に関わる再生・維持機構についての転写因子に関連する分子機構の解明を行っており、その中で骨格筋の再生や発生モデルを通じてDNAメチル化の制御機構の解明を試みました。エピジェネティクス研究においてはモデルの用意、サンプルの作成、実際の解析という過程を行いますが、一介の産婦人科医が全てを一人で完成させていくことはできません。

 しかし、日本の研究環境とは異なり、スクリプス研究所の周囲にはカルフォルニア大学サンディエゴ校、サンフォード・バーナム研究所、ソーク研究所などが密集しています。このため、骨格筋分化モデルを多数持つ研究者やDNAメチル化の解析を得意とする研究者がたくさん大所帯の研究室を構えています。それぞれの交流に敷居が低く、気軽に質問して教えてもらったり、手助けしてもらえる環境があります。私の拙い英語力でも骨格筋の凍結切片の作り方や骨格筋細胞の単離技術を拙い英語で教えてもらいながらなんとか研究を進めておりました。

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サンディエゴでの生活

 サンディエゴには比較的日本人は多く居住しています。そのため賃貸の仲介、中古車ディーラー、確定申告のための税理士、美容院に至るまで日本語でOKというものたくさんがあります。また、日系スーパーマーケットやダイソーもあり、日本の商品も比較的手に入りやすく、実際に重宝しました。移民の多い国柄もあり、病院などインフォームドコンセント的なものが重要となる場面では、必ずnative language での同時通訳を行ってくれます。一方で、ローカルな飲食店や床屋、住居の修繕の際には、(おそらくお互いに堪能ではない)英語での対応を迫られ、苦しくも興味深い異文化コミュニケーションでを通じて、スマホ時代には言語の壁とはあってないようなもので、あるとすれば文化の壁と痛感しました。

 地理的にはメキシコと国境を挟み、雨は少なく、西海岸のビーチと世界有数のゴルフ場、動物園、海洋テーマパークがあり、車で1時間程度でディズニーランド、2時間でLA、5時間でラスベガス、10時間でYosemite国立公園にたどり着けます。アメリカの中でも治安が良く、住みやすい都市ではないかと思います。

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海外留学は

 この20年で海外滞在研究者が半減しており、現在の医師にとっての『海外研究留学』の位置付けは超マイナーなキャリア形成法となってきています。昨今の専門医制度の細分化・高度化、情報流通の発展から、大学院に進学して、いわゆる『基礎研究』を修学せずに『海外留学』として拠点を移さないことが標準化した中、少し時代遅れなキャリアの進め方ではあります。しかし、私にとっては、住居を移し、研究拠点を海外に移すことで、研究経験としても人生経験としても、替えがたいものとなりました。様々な研究キャリアの作り方がありますが、できれば若いうちの海外留学をお勧めします。

謝辞

 研究留学という貴重な経験ができましたのは、当講座の前教授・宮本新吾教授、東京医科歯科大学システム発生再生医学分野の淺原弘嗣教授、本学医学部前生化学教授黒木政秀先生、受け入れてくださったThe Scripps Research InstituteのMartin K. Lotz教授と挙げればきりがありませんが、多くの方に支えていただいたお陰です。この場を借りて感謝申し上げます。
今後この貴重な体験を後進に還元できる様に尽力いたします。