膵島移植

膵島移植は、提供者(ドナー)の方より頂いた膵臓を処理し、インスリンを分泌するランゲルハンス島(膵島)という細胞群を取り出して移植するインスリン依存糖尿病に対する細胞移植療法です。 すなわち従来のインスリン注射による治療とは違い、インスリン産生細胞を移植することで、血糖値に応じたインスリンが体内で分泌されるようになる治療法です。移植が成功すると血糖値の不安定性が抑えられることで、無自覚性低血糖発作がなくなり、血糖コントロールが良くなって、糖尿病合併症の改善も期待できます。最初の膵島移植は 1990年に米国で行われ、その後、2000年になりカナダのグループから2-3回の複数回移植による成功例が報告され、現在では欧米を中心に多数行われています。 我が国では2004年に第一例が行われています。2007年までに18人の患者さんに対して34回の移植が行われました。その後、膵島移植に関連する薬剤が使用中止となったことから2011年まで膵島移植は中断しておりましたが、2012年より先進医療として、そして、2020年4月より保険診療としての認可を受けるようになり、今後多くの移植が行われるようになると見込まれています。福岡大学病院でも2006年に九州、沖縄では最初となる膵島移植を行い、その後も全国6認定施設で実施された先進医療の多施設共同臨床試験にも参加してきました。今回、2020年12月に厚労省から第一種再生医療等を行うことのできる機関として認められ、全国でも数少ない膵島移植実施施設として許認可を受けました。

ここでは、膵島移植がどの様な治療法であるのかを説明します。