診療を受けられる方へ

福岡大学医学部外科学講座
呼吸器・乳腺内分泌・小児外科
教授 佐藤 寿彦

私たちの教室が担当している診療分野は、呼吸器・縦隔疾患および乳腺や甲状腺、小児外科に関する疾患を取り扱っています。 皆様の診療を担当する医師は、いずれも専門性の高い能力を持ち、その領域の学会から認定された専門医・指導医を持っていますので安心して治療を任せていただくことができます。また治療の方針は、一人一人の患者さんに応じて多くのカンファレンスを繰り返し行い、現在の医療基準にあわせ正しく決められます。

福岡大学では、最高の技術を駆使し皆様の病気を治癒させることに専念しています。九州一円からも多くの方が来院されています。最近では海外からも当教室での治療依頼があります。原発性肺癌は全国でも屈指の施設として常に紹介されています。縦隔疾患、転移性肺腫瘍、良性肺腫瘍、気胸、胸部外傷など、あらゆる疾患に幅広く対応しています。特筆することは、国内でも数少ない肺移植認定施設として高い評価を受けていますので、その高い熟練した技術が、肺癌をはじめ多くの手術で生かされていることを知っていただきたいと思います。乳癌の治療は手術とホルモン・化学療法を組み合わせた集学的治療が大切ですが、教室の特色に形成外科と協力した乳房切除後の乳房再建があります。これにより患者さんに高い満足を得ていただくことができます。小児外科では、内視鏡外科の小児領域の技術認定を持った医師が、これを駆使しながら子供にも負担の少ない治療を提供しています。信頼に応えられる優しい医師が、皆様の来院を心よりお待ちしています。それぞれの領域の詳細については各HPをご覧ください。

胸部疾患の内視鏡を用いた外科手術は患者さんへの負担が少ない治療として最近では最も注目される手術になっています。我々福岡大学ではこれらの方法を日本でも最もはやくから取り組んできた施設の一つです。多くの患者さんが県内はもとより九州一円や全国から治療のため来院されています。我々の優れた内視鏡手術医を育てる教育的プログラムには、これまで日本はもとより海外からも多くの医師が福岡大学に研修に訪れています。

若い患者さんの重症呼吸不全に対する治療として肺移植がありますが、現在日本では脳死肺移植認定施設は7施設あります。その一つとして2005年6月に認定を受け2006年末には九州で初めての脳死肺移植を行っています。また世界最少年齢の生体肺移植を成功させ、現在45例の移植を実施しています

ロボット手術

2016年4月よりロボット手術を開始しました。2018年4月より、保険診療として承認を受けております。ご希望の方はご相談下さい。

気道インターベンション

悪性疾患を中心とする各種疾患により気道が狭くなった部分を開いて呼吸を楽にしてあげる手技をしています。レーザー治療をはじめステント挿入を行います。これは緊急性や危険度が高く、多くの施設では出来ません。このような場合でも私達は、高度技術を提供しています。気管支、血管形成による機能温存、進行肺癌に対してまず抗癌剤や放射線を行ないます。効果が得られた場合に片肺摘除を避けて肺葉切除を行なうための工夫として気管支や肺の血管を切り離して作り直す方法があります。多くの手術経験が評価されていることで他の施設から紹介を受けて実施しています。

乳腺

総合的に乳癌治療を行えることも我々大学ならではのことと思います。外科治療に加えて形成外科による乳房再建術や、放射線科による診断や照射治療、血液腫瘍内科との化学療法・ホルモン療法などの連携で充実した治療を受けることができます。このように多くの診療科がない他の施設で困難な症例でも対応できる態勢を整えすなわち一貫した治療が行われていることも特徴です。

内分泌

甲状腺は標準的な甲状腺手術はもちろん、気道系の専門科の特徴を生かし気道浸潤を伴うような進行甲状腺癌の気道再建も行なっています。広い守備範囲の治療を提供しています。また内分泌・糖尿病内科との連携で術前後の治療を計画的に行なっています。甲状腺手術は、内分泌疾患の中心疾患で主に甲状腺癌を中心に行なっています。糖尿病内分泌内科、放射線科と合同のカンファレンスを通じて治療方針や術後のフォローなどが検討されています。

小児外科

新生児から15歳までの小児の外科疾患に対し、日本小児外科学会の認定医施設として、指導医、専門医による小児外科診療を行っています。対象とする疾患は腹部・消化器系の病気を中心に、頸部、胸部、体表など多岐にわたりますが、鼠径ヘルニア、でべそ(臍ヘルニア)、便秘や血便、小児の肛門病変、皮膚や皮下の腫瘤などの日常的疾患にも対応しています。虫垂炎や腸重積症などの救急疾患については小児科との連携により24時間体制で対応しています。

また福岡大学病院は福岡県の総合周産期母子医療センターに指定されており、2011年1月の新診療棟の完成によりNICUはGCUと合わせて45床に増床されました。小児外科はこのセンターの一員として出生前診断の段階から産婦人科、小児科と連携を取りながら、あらゆる新生児・乳児の外科疾患に対応しています。