診療を受けられる方へ

1.1 日本の臓器移植

肺移植をはじめとする「脳死臓器移植」は、「臓器移植法(1997年発効)」という特別な法律のもとで実施されています。肺移植はこの法律に基づいて指定された国内7か所の病院のみで実施を許されており、福岡大学病院はその一つです。肺移植希望の患者さんは福岡大学病院のような最寄りの「肺移植認定施設」で検査を受け、脳死肺移植登録をする必要があります。

1.2 福岡大学の肺移植プログラム

福岡大学病院は2005年に「脳死肺移植・生体肺移植」の実施施設に指定され、2006年には「九州で初めての脳死肺移植と生体肺移植」を実施しました。「九州における肺移植」の幕開けです。その後、福岡大学の肺移植プログラムは着実に経験を重ねています。日本の肺移植はまだ端緒についたばかりの新しい治療であり、福岡大学肺移植チームは「肺移植で救える命」を増やすために努力を続けています。「もっと詳しく 知りたい方(患者さん)」あるいは「患者さんを紹介したい方(医療従事者)」はお気軽に肺移植窓口(担当;肺移植プログラム責任者・白石武史准教授)」あて、メールで直接お問い合わせください。

肺移植に関するお問い合わせ

2.1 肺移植が必要な病気?

肺移植が適応とされるのは、

  1. 重い肺の病気で
  2. いろいろな治療が尽くされたにもかかわらず進行性で
  3. あまり長く生命を保てない可能性があり
  4. 肺以外の他の臓器はしっかりしているので
  5. 肺を移植することで健康を取り戻せる可能性が高い

という患者さんです。

つまり、「進行性の肺の病気の為に」、
「すでに酸素吸入が必要となり」、
「ちょっとしたことで入院しがち」、
「調子が悪いときは外出もままならない」、
「このままでは近い将来に命にかかわる状態になる」、というような状況に陥った方です。
 また、肺移植を受けるには60歳以下(両肺移植が必要な場合は55歳以下)という年齢制限があります。
具体的な病名としては、
肺高血圧症
肺線維症・間質性肺炎
びまん性肺リンパ脈管筋腫症(LAM)
閉塞性細気管支炎(骨髄移植後の肺障害を含む)
重症肺気腫
気管支拡張症
その他
などがあげられます。この他にも肺移植の適応となる病気はたくさんありますが、癌に伴う呼吸不全は適応になりません。

2.2 脳死肺移植と生体肺移植の違い?

2.2.1脳死肺移植:

「脳死肺移植」は脳死になられた方からの篤志の「臓器提供」をうけて実施される臓器移植です。「脳死肺移植」を受けるためには福岡大学のような移植実施施設で 厳重な検査を受け、「臓器移植ネットワーク」に名前を登録しなければなりません。「脳死臓器移植」の詳しい内容と仕組みは「日本臓器移植ネットワーク」の ホームページから閲覧することができます。

「臓器移植ネットワーク」に登録した後は、自分に適合する臓器が提供されるまで健康に留意しながら待機をします。現在日本では臓器提供件数がとても少なく、逆に移植希望の患者さんが多いため、実際に臓器提供が得られるまでの平均期間は2年を超えています。この状況は平成22年の臓器移植法改正により、徐々に改善しつつはありますが、「移植が必要」と判断されたらできるだけ早く登録することが必要と言えるでしょう。

脳死の臓器提供はある日突然、予告なしに行われます。「その時提供された臓器(肺)を誰に移植するか?」という決定は「日本臓器移植ネットワーク」が行います。血液型・体格・免疫学的な事項を参考に、待機期間の長い患者さんを優先して「移植を受ける患者さん」の決定がなされます。「臓器提供者」がどこにおられるか、「移植希望者」がどこの病院で登録を受けているかは全く関係ありません。「移植を受ける人(レシピエント)」が決まったら、移植は緊急迅速に実施されます。

2.2.2生体肺移植:

生体肺移植は、脳死肺移植とは異なり近親者(健康な家族)からの肺の「部分提供」を受けて実施される移植です。通常は、病状が重くて「脳死臓器提供を待つ時間的余裕がない場合」に実施されます。

生体肺移植は原則的に2名の提供者(ドナー)が必要です。一人のドナーから右あるいは左の肺の一部(下葉と呼ばれる部分)を提供していただきますが、これはその提供者の方の肺全体の大きさの約25%程度になります。しかし、移植を受けるのが「小さな子供さん」や「体格の小さな大人」の場合、例外的に「提供者が一人」でよいこともあります。

生体臓器提供ができるのは、福岡大学では原則的に2親等以内の親族すなわち両親・兄弟に加えて配偶者(夫または妻)までと定めています(福岡大学生体肺移植実施基準)。特殊な事情でこの範囲を超える姻戚関係の方(例えば伯父や叔母:3親等縁者)に提供をお願いする場合は、「福岡大学倫理委員会」の厳重な審査を経なければなりません。

2.3 移植手術のこと

2.3.1脳死肺移植の実際:

福岡大学で移植待機中の患者さんへの「臓器提供」が決まったら、「臓器移植ネットワーク」から福岡大学病院に直ちに連絡が入ります。福岡大学肺移植チームはそれに応えられるように常に準備をしています。

移植を実施することが決まった患者さんは福岡大学肺移植チームから連絡を受け、例え夜間であってもすぐに福岡大学病院へ入院していただくことになります。これと同時に福岡大学からは4名の医師からなる「摘出チーム」が「提供病院」へ向かいます。篤志の提供者に十分な礼を尽くして「提供肺」を受け取った後、福岡大学チームは必要に応じてチャーター機などを使用し、大切な「移植肺」を一刻も早く福岡へ運びます。

この間、福岡大学病院では「肺移植手術」の準備をすすめ、「移植臓器」の到着と同時に移植手術を実施いたします。

2.3.2生体肺移植の実際

福岡大学肺移植チームは、「臓器移植は脳死移植が基本」と考えています。生体肺移植は健康なドナーに負担をかける移植形態であるため、「移植希望患者さん」 の病状が脳死臓器移植の順番を待ちきれないと判断された場合にのみ実施いたします。このような理由から生体肺移植希望の患者さんも「脳死肺移植」登録をし て頂くことが前提となります。しかし、病状が悪すぎて脳死移植登録をする時間的余裕のない患者さん、あるいは脳死臓器提供が見込みにくい子供の患者さんの 場合は緊急で「生体移植」を実施する場合もあります。

2.4 肺移植の危険性と合併症

2.4.1手術の危険性

肺移植手術は本来危険な手術です。手術そのものの死亡率が5%程度あることに加え、術後1カ月以内にいろいろな合併症で死亡される確率が10%に達します。移植後も、感染症や拒絶反応で不幸な転機を辿られる患者さんがおられ、5年後の生存率は50-60%位(国際水準)です。しかし、日本の成績は世界的な水準に比べ良好であり、現在もなお移植成績向上のための様々な研究が展開されています。

2.4.2術後に必要な「薬」のこと

移植手術を受けられると、「拒絶反応」を抑えるためのお薬を飲まなければなりません。「拒絶反応」とは、元来自分のものではない「移植肺」に対して、自分の免疫力がこれを攻撃・排除しようとする生体反応のことです。これを制御する薬のことを「免疫抑制剤」と言います。免疫抑制剤は「拒絶反応」を抑えると同時に感染抵抗力を抑えることにもなり、感染を抑えるために別の何種類かの薬も飲まなければなりません。現時点では、肺移植を受けた場合は「免疫抑制剤」は生涯飲み続けなければならないと考えられています。

この他にも、肺移植の後にはたくさんの薬を服用する必要があります。詳しいことは担当者が説明いたします。

2.5 移植するとどうなるの?

2.5.1新しい人生

肺移植が成功すると患者さんは大変元気になります。移植前は酸素吸入が欠かせず、ほとんどベッド上の生活であった患者さんが、移植後には酸素を必要としなくなるばかりか旅行に出かけたり、仕事に復帰したり、若い患者さんであればスポーツに参加できるようになることもあります。移植を契機に新しい人生が始まる、と言っても過言ではないでしょう。

2.6 経費はいくらぐらいかかるの?

肺移植には莫大な経費がかかります。しかし、2008年から「脳死肺移植」「生体肺移植」共に健康保険適応となりました。以前は患者さんが資金集めのために「募金活動」などを余儀なくされていたことを考えますと大変な朗報です。患者さん個々がお持ちの「健康保険」や「医療保護の程度」で支払額は変わってきますが、少なくとも膨大な額ではありません。詳しいことは受診の際にお尋ねください。

2.7 肺移植の情報

肺移植実施施設で編纂した肺移植パンフレットです。詳しい情報をお求めの方はご覧ください(2007年版の為、費用や実施施設に関する情報に一部不正確な部分が含まれます)

肺移植パンフレット「命の贈り物」

3.1 脳死肺移植登録

担当の先生から「肺移植を考えたほうがよい」と言われたら、まずはその先生に「福岡大学の肺移植チームへ連絡をとってほしい」とお願いしましょう。福岡大学肺移植チームから担当の先生へ、必要な手順をご連絡いたします。メールでの直接のお問い合わせ、あるいは福岡大学呼吸器外科の「肺移植外来」への受診も可能です。福岡大学では現在、九州一円の患者さんが脳死肺移植登録をされています。

肺移植に関するお問い合わせ

3.2 肺移植外来

福岡大学の呼吸器外科肺移植チームでは、週に2日「肺移植外来(担当;白石武史准教授、完全予約制)」を開いてます。地域連携室あるいは福岡大学外科外来(092-801-1011)を通じて予約をおとりください。

福岡大学呼吸器外科「肺移植外来」(予約制)
木曜日;14:00-16:00、土曜日;10:00-12:00
肺移植担当;白石武史准教授(E-mail:thoracic@fukuoka-u.ac.jp)・平塚昌文講師・栁澤純助教
連絡先;福岡大学地域連携医療室(092-801-1011)

3.3 福岡大学肺移植チーム

福岡大学肺移植チームは

  1. 呼吸器乳腺内分泌小児外科
  2. 呼吸器内科
  3. リハビリテーション部
  4. 薬剤部
  5. 看護部

を中心として運営されており、必要に応じて

  1. 心臓血管内科
  2. 心臓血管外科
  3. 麻酔科・ICU
  4. 病理部

が協力をしています。
また、海外の施設とも研究・人材の交流により「肺移植」に関する最新の情報を交換し合い、常に安全な実施を心がけています。

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