肺が胸腔内(胸の箱)でしぼんでしまう状態を表します。
これは弱い肺表面の組織(胸膜)が破れて空気が漏れ出し、止まらないことによります。若い人のブラが破れることが多く、これは胸腔鏡手術で簡単に切除することで治すことができます。
A. 福岡大学では初回でも胸部写真で明らかに薄壁を有する病巣(ブラ)があれば切除により再発を少なくすることができると考えています。参考までに肺から空気の漏れる様子をに示しています
しかしながら切除をしても、また近くの傷からブラが新生したりすることもあり、また再発してくる方もいます。
これは他の方に比較し胸膜などが脆弱であることもブラ再発に関与しているからです。しかし再発率を手術により少なくできることは確かです。これは傷が小さくできる胸腔鏡手術の良い対象疾患でもあります。
A. 若い方に多い疾患ですので、少しでもはやく直し社会(学校、職場)復帰をしたほうが良いと考えています。我々は原則的にその日のうちになるべく手術をしています。これは麻酔科医や病棟との俊敏な連携で対応できるからです。おそらく市内では最もすばやい対応ではないでしょうか。入院期間は2-3日です。
A. もちろん多くの場合は、ブラに伴うものです。しかし注意が必要なことは女性気胸にはブラの破裂ではなく、生理に伴って起こる特殊な月経随伴性気胸というものがあます。また30歳前後に妊娠を契機に進行するLAMという特殊な肺病変にも気胸を繰り返すことがあります。鑑別が大切です。このような特殊な病態診断には外科的組織検査が必要ですが、気胸自体は外科治療のみでは治すことができませんのでホルモン療法など専門的な治療が必要です。
A. 肺が虚脱する程度にもよりますが、まず胸腔内の空気を体の外に出して肺を膨らますチューブを入れる必要があります。これの大きさが約5-10mmです。したがって保存的な(非外科治療)でもこの程度の傷は回避できません。繰り返していれば、その度に新しい傷ができていきます。こう考えると手術で10mmの傷と5mmの傷程度でできる胸腔鏡手術でも変わりはないと考えられます。福岡大学では特に傷には配慮しています。胸腔鏡も種類や大きさが様々あり治療法も切除、凝固、ルーピングなどがあり患者さんに適した方法や器具を用います。多くの場合は器械(内視鏡用自動縫合器)で病巣とともに一部肺を切除することが一般的です。
A.若人とは異なり、肺全体が気腫化(脆弱になって風船みたいになること)して特に弱い場所から空気が漏れることにより起こります。したがって肺全体の構造がもろいため、一端発生するとなかなか治りません。空気の穴も大きく、そのままであれば肺炎などしばしば合併症も起こります。早く塞ぐ手術お考えなくてはいけませんが、技術的には工夫が必要な難しい手術となります。特殊な材料なども必要です。高齢者ほど術後管理もなかなか難しいのです。福岡大学は肺気腫に対する肺容量減量手術の日本でもトップクラスの経験を有しており、九州でこれらの肺気腫の手術を多く手がけた他の施設はありません。我々のこれらの経験は、肺全体の構造がもろい高齢者気胸の肺漏閉鎖にも生かされています。したがって遠方の施設では困難な方の多くの紹介があります。
最近ではブラのある肺を切るための機械に特殊な材料が装着されたものがあり有用です。