膵島移植
移植に伴う合併症

膵島移植手技は現在の医療技術では簡易な技術であり、移植手術の際の合併症は、臓器移植手術に比較して極めて少ないといえます。
また同様の手技は門脈の採血や血管の造影などで割合と頻繁に行う方法で、多くの経験もあります。
局所麻酔薬に対する過敏反応によるショック症状が稀にみられることがありますが、これらは膵島移植にのみ特別に起こる合併症ではありません。
膵島移植では、皮膚を通して肝臓を穿刺するために、穿刺部の皮下出血や肝臓内の出血や血腫、腹腔内出血などが起こることがあります。
またごくまれに肝臓内の血管同士がつながってしまったり、血管と胆管がつながる胆管--血管瘻ができて、胆道出血が起こることがありますが、稀な合併症であり、たとえ起こったとしても通常は適切な処置で対応が可能です。移植された膵島により門脈が閉塞して門脈圧が上昇することも予想されますが、最近の移植方法では起こっていません。


膵島移植では他人の膵島を移植するために、それを排除しようとする免疫反応である拒絶反応が起こります。
この拒絶反応を抑えるため、2~3種類の免疫抑制剤を膵島が生着している限り服用することが必要です。
そのため細菌、ウイルス、真菌類や寄生虫などが体内に入って来た場合に、これらに抵抗したり排除したりする力が弱くなり、感染症にかかる頻度が高くなります。
発見が遅れると、時に重症化して生命の危険をもたらすことがありますので、注意深い観察や定期的な受診はかかせません。
しかし、感染症にかかりやすくなるのは移植治療全般にあることであり、膵島移植に特別なことではありません。

また、移植膵島を介して、未だ知られていない感染症がレシピエントから移入される危険性も皆無とは言えません。
移植を受けた方は、免疫力が抑えられるので、受けない人に比べて悪性腫瘍の発生頻度が高くなることが知られています。
また、ウイルス感染症から悪性リンパ腫が発生することが稀にあります。
移植膵島が拒絶されないためには、免疫抑制薬を飲み続けなければなりませんが、これらの薬は免疫力をおとす以外にも副作用がでる場合があり定期的な観察が必要です。