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From the Professor

教授挨拶(令和7年)


令和7年新年のご挨拶

福岡大学医学部 腎泌尿器外科学 講座 主任教授・診療部長 羽賀 宣博

新しい年の恭賀を申し上げます。日頃より大変お世話になっている方々に、心より感謝申し上げます。福岡大学医学部腎泌尿器外科学講座として、皆様のご支援のもと、患者さんのために日々の診療、教育、研究に本年もいそしんでまいります。

昨年は開講以来数十年ぶりとなる、5人の若手医師を当講座に迎えることができ、講座内に活気があふれてきました。それに呼応するように、ベテランの医師も頑張っており、相乗効果となっているようです。さらに、本年は、6人の新入医局員を当講座に迎える予定であり、さらなる発展を私自身期待しています。

昨年1年間の実績と2025年の目標を以下に掲げます。

診療

昨年からは、ロボット支援下の副腎摘出手術を開始し、患者さんにさらなる低侵襲な治療を提供できるようになりました。また、腎盂がんや尿管がんに対して、新しいロボットを用いた新しい手術術式「完全後腹膜アプローチによる腎尿管全摘術」の開発に成功しました。私たちが開発したこの術式では、手術直後の低侵襲性が明らかになり、国内外の学会でも高評価を頂き、また、国際的なジャーナルにも掲載されました。さらに、前立腺癌に対しても、ロボットを用いた高精度の神経温存手術の開発に成功し、こちらも国際的なジャーナルにも掲載されました。このように、当講座では、私が着任後5年間で、ロボット支援下の泌尿器癌の手術においては、世界をリードするようになってきたかと考えています。そして、その成果の一つとして、昨年は福岡大学病院内で最も手術件数の増加が著しい診療科としての評価を、手術部門から頂きました。大変光栄なことかと存じます

本年の目標は、泌尿器癌の手術を安全、確実に行っていくのはもちろんですが、私の専門分野の一つであります、前立腺肥大症に関して、先進医療を行っていきたいと考えています。また、昨年から課題に挙げている女性の骨盤臓器脱や尿失禁に対する治療に関しては、喫緊の課題として取り組んでいく所存です。

研究

研究面におきましては、岡部君が光診断を用いた経尿道的膀胱腫瘍切除術に関して、周術期の有害事象の発症要因を解明に成功し、国際的なジャーナルに掲載されました。また、この業績が認められ、本年度に福岡大学から学位が授与される予定となっています。それ以外にも、公衆衛生学や製薬企業との共同研究を行い、排尿障害の薬物治療に関するビックデータ解析を行い、こちらに関しても世界的なジャーナルに掲載されました。排尿障害の治療は薬物治療が重要な割合を占めるため、私たちの行った研究が、薬物治療の治療選択の一助になれればと、考えている次第です。

2025年の研究面にかんする目標は、冨永先生と立花先生の二人の大学院生を中心に、前立腺肥大症の発症機序の解明と低活動膀胱のバイオマーカーの探索を行っています。非常に興味深いデータが出てきており、こちらに関して、今年中に公表できるように頑張っているところです。

教育

若手医師が多いのが当講座の強みであり、教育熱心な上司が多いのも当講座の強みです。学会などのプレゼンテーション指導や論文指導はもちろんですが、日常診療に関しても、マンツーマンで指導し、安全安心な医療を提供しており、患者さんからも大変好評です。

昨年は、特に海外での学会発表が多く、米国、スペインや韓国などで多くの医師が英語でのプレゼンテーションをしっかり行って来ました。また、本年三月には、泌尿器科一年目の篠原先生が、日本泌尿器科学会と欧州泌尿器科学会の交換プログラムに選考されました。若手医師がどんどん世界に進出していってほしいと考えています。

本年度の教育の目標は、「医局の国際化」です。海外学会での発表はもちろんですが、本年9月には海外からの留学生を当講座にお招きする予定です。海外の先生から、沢山学べることが多いと思っています。是非、今後当講座からも、世界に羽ばたく医師が、たくさん生まれてほしいと考えています。

教室員が一丸となって、講座を盛り上げていきたいと考えています。本年もどうかよろしくお願いいたします。

令和7年1月1日
福岡大学医学部 腎泌尿器外科学 講座
主任教授・診療部長 羽賀 宣博