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Malignant Tumor

[ 5 ] 悪性腫瘍に関する治療


腎臓がん(腎細胞がん)

4 cmまでの小さな腫瘍  ロボット支援腹腔鏡下腎部分切除を基本術式としています。症例により開腹で行う場合があります。

4 cm から 7 cmの腫瘍  腹腔鏡下腎摘除術を基本とします。腫瘍が大きく飛び出している症例や、腎機能が悪い方は腎部分切除術を検討します。この場合、ロボットで行うか開腹で行うかは患者様の状態,腫瘍の位置・大きさ等から判断します。

7 cm 以上の腫瘍  基本、開腹による腎摘除術を行いますが、症例により腹腔鏡手術も検討します。

他臓器に転移がある場合  可能な限り手術による原発巣の摘除を行った後、転移巣に対する治療を行います。

他臓器に転移がある場合  可能な限り手術による原発巣の摘除を行った後、転移巣に対する治療を行います。

転移巣に対する治療  腎細胞がんの種類にもよりますが、転移巣が肺転移だけの場合、インターフェロンやインターロイキン-2といった薬剤を用いた免疫療法を行います。 腫瘍が消失するだけでなく大きさが変わらないといった状態であれば、この治療を継続します。 転移巣が肺以外(骨、肝臓、リンパ節)の場合、分子標的薬といわれる新しい抗がん剤を使用します。 現在、効能と剤形の違いにより6種類の薬があります。転移の部位、がん細胞の種類、年齢、全身状態を考慮した上で、薬を選択します。 また分子標的薬が無効あるいは聞かなくなった場合、免疫チェックポイント阻害薬(オプジーボ:ニボルマブ)の投与を検討します。 転移巣の部位、個数によっては手術で取り除くことにより治療効果が高まる場合がありますが、適応には様々な条件があり主治医・患者間で十分協議する必要があります。

前立腺がん

手術  当科では2015年8月より最新の手術支援機器 da Vinci Xi:ダビンチ Xi を用いたロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術を開始しました。 ロボット支援手術は手術の際の傷が小さいだけでなく、拡大した視野で手術を行う結果、剥離や吻合といった細かい作業を精確に行うことが出来るため、出血が少ない、尿失禁が早く回復する、症例によっては勃起機能を温存できるという利点があります。

放射線治療  当院では強度変調放射線治療(intensity modulated radiation therapy; IMRT)により、前立腺に十分な量の放射線を当てつつ、周囲(膀胱、直腸)への放射線量を減らすことで治療効果を下げることなく副作用の少ない治療を行っています。 通常、1回 2 Gy の照射を 37 ~ 38回行う計画で治療を行っています。 土日を除き週 5回の照射を 8週間弱続ける計算になります。 ご希望により外来または入院での治療を選択できます。また2017年4月よりゾーフィゴ(Ra-223)を用いた骨転移に対する治療も開始いたしました。 外来通院での点滴治療で月 1回,6回までの治療を基本とします。

各種薬物治療  当初のホルモン治療が聞かなくなった状態のがんを去勢抵抗性前立腺がんといいます。 この状態になった場合は、症例により新規ホルモン薬による治療、または抗がん剤による治療を選択し生活の質を落とすことなく効果的な治療を行うべく検討いたします。

膀胱がん

経尿道的膀胱腫瘍切除術 ( TURBT ):  膀胱腫瘍に対しまず行われる手術です。 麻酔をかけた上で尿道から電気メスのついた内視鏡を挿入し、腫瘍を削り取ります、削り取った組織を病理検査に提出し、がんかどうかだけでなく悪性度、がんの深さを判定します。 結果によりその後の治療方針が決定されます。

膀胱内注入療法  手術の結果、がんは筋層まで達していないが、2個以上ある、大きさが 3cm 以上、悪性度が高い、上皮内がんであるといった条件に合致する場合、再発予防または治療目的に膀胱内に抗がん剤または BCGを注入するという治療が選択されます。 がんの状態や全身状態、年齢などを考慮し適応を検討します。

膀胱全摘除術  筋層浸潤性膀胱がんに対する最も標準的な治療となります。 ただし膀胱を全て取り除く手術となるため、同時に尿路を再建する手術が必要になります。 当科ではおなかにストーマを作成する回腸導管または尿管皮膚瘻造設術と自分で尿道から排尿が可能な新膀胱造設術の三つの方法を標準的な治療として採用しています。 年齢、合併症の有無、腎機能、がんの存在部位を検討し、患者様の希望も含め最終的な治療法の選択を行います。

膀胱温存治療  筋層浸潤性膀胱がんに対する標準治療は膀胱全摘除術ですが、高齢のため手術が難しい場合やどうしても膀胱の機能を残したい症例に、膀胱をとらない治療(膀胱温存)を選択することがあります。 この場合、抗がん剤と放射線を併用することで治療効果を高めています。 症例により、一般的な抗がん剤投与法に放射線治療を併用する方法と抗がん剤を少量ずつ動脈から注入しつつ放射線治療を併用するという二つの方法を選択しています。 1コースが 3 ~ 4週間かかり、通常 2 または 3コース行います。 現時点ではまだ標準的な治療法とはなっておらず、どなたでも適応となるわけではありませんので、前記の膀胱全摘除術と利点・欠点を十分比較検討したうえで治療法を選択します。

抗がん剤治療  膀胱がん発見時に転移がある場合、手術を行った後転移が生じた場合などに適応となります。 現在代表的な 2種類の多剤併用抗がん剤治療( GC,MVAC )があり、治療歴や患者さんの状態などにより選択しています。 方法によっては外来での投与も行っています。

[ 注意点 ]
 代表的な泌尿器科領域のがんに関し、当科の治療方針を列記しました。 
 あくまで一般的な治療法を記載していますので、実際は個々の症例により治療法の選択肢が変わることをご了承ください。 

[ お問い合わせ ]
福岡大学腎泌尿器外科学講座
〒814-0180 福岡市城南区七隈七丁目45番1号 [ Google Map  ]
TEL : 092-801-1011  FAX : 092-865-4445  E-mail : urology@fukuoka-u.ac.jp
[ 平日 ] 初診 / 8:30 - 12:00 ( 月・火・木・金 )  再診 / 8:30 - 12:00