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No.141 第39回腎移植・血管外科研究会参加報告

2024年6月13-14日、大阪国際会議場で開催された第39回腎移植・血管外科研究会に参加しました。この学会は、泌尿器科医を中心に発足した会員500名程度のコンパクトな学会で、全国の腎移植や血管外科に関与する臨床研究を主体とした会です。シャント手術を含めた透析療法に関しての発表もあり、その勉強の機会にもなります。

私は「術前画像評価困難であった外腸骨静脈内に多発静脈結石を認めた生体腎移植の一例」のポスター発表と、移植後感染症口演セッションの座長を努めました。発表では、珍しい症例であった事もあり、原因、診断と対処法に関しての多くの質問があり、有意義な発表が出来ました。

学会では、3回目の移植などの多次腎移植や廃絶腎の摘出に関するシンポジウムがあり、腹腔内からの腎門部へのアプローチの有用性が論じられ参考になりました。また先日米国のMGHで行われた豚の腎臓を使用した移植で関心が高まっている異種移植の開発の現状についての特別講演がありました。10カ所程度の遺伝子改変などで使用可能な腎臓の準備は出来るが、現在を上回る免疫抑制療法が必要である事が問題点としてある様でした。腎移植におけるロボット支援手術に関しても、下腹部のPfannenstiel切開や女性では経膣的に移植腎を腹膜腔内に入れることが試みられているとの報告がありました。どの施設も技術の伝承が課題で、まだ保険適応のないドナー腎採取術へのロボット支援手術への期待を含めて、若手の医師に腎移植に興味を持ってもらうためにも腎移植手術へのロボット支援手術の利用の必要が述べられていました。

本発表に際して、貴重なご意見とご指導を頂いた羽賀宣博教授と医局員の皆様に心より感謝致します。

(文責 中村信之)